【万年筆の書き心地】0.38mmジェットストリームとガリレオ湯川学

こんにちは、ヒツジ執事です。

あまり手を出すつもりはなかったのですが、ガリレオ湯川学シリーズの ”真夏の方程式” で使用されていたダンヒル(dunhill)のサイドカーという油性ボールペンを入手しました。

ところがこれが喜ばしい方向に期待を裏切り、今は大活躍してくれています。

もともと私は大学卒業まで万年筆を使っていた「隠れ万年筆派」です。今回は、どうしてそんなにダンヒルのサイドカーが使い心地良いのかを紹介させて頂くことにします。

サイドカーの出番

残念ながら映画 “真夏の方程式” では、ダンヒルのサイドカーの出番は殆どないです。

冒頭の電車内でトラブルがあったシーンの時に、福山雅治の演じる湯川学准教授が、雑誌へのメモ書きに使っていた程度です。(小説では旅館名を尋ねてメモしたり、もう少し印象的な使い方でした)

なんでそんなことを覚えているかというと、身長180cmを越えるという長身な福山ガリレオが、かなりボールペンのペン先の方を握っていて不自然だったからです。

それだけで十分にインパクトがあって、記憶の片隅に残っていました。(なぜかDVDも持っています)

なおその時の湯川学准教授の服装がダンヒルだったかどうかは分かりません。

なにせ私もダンヒルのスーツは三着持っていますが、たまたま米国生活時に閉店セールに遭遇したことがあって、処分品を格安で調達したという代物ですので。(^^;)

それに実は私自身は、その処分品(1着250ドル)でさえ全く購入する気は無かったのです。

ただし当時の上司がオシャレな方で、TVアニメの ”明日のジョー” よろしく、「買えっ! 買うんだーっ、四葉君!」と仰せになりました。尊敬する上司だったので、素直に業務命令というかアドバイスに従って、クレジットカードへサインしたという訳です。

ちなみに残念ながら上司は体格が良かったので処分品は売れ切れており、彼自身は何も購入できないという事情もありました。

ただしなんとなく、 ”真夏の方程式” の湯川学先生も、ダンヒルだったような気がしないでもないです。

謎の製品仕様

さてそのダンヒルのサイドカー油性ボールペンですが、なかなか謎に満ちた筆記具です。

実はダンヒルはモンブランを買収したほどで、一時期は筆記具にも相当力を入れていました。それだけにお粗末なものは作らないような気がします。

しかしダンヒルのサイドカー油性ボールペンを手に持つと分かりますが、「妙に重い」上に「重心が偏っている」です。

なんと32gと、ファーバーカステルの伯爵コレクション油性ボールペン並みです。それが本体軸(ボディ)の中心よりも、かなり後端側に重心が配置されています。

身長170cmのヒツジ執事はおろか、180cmの福山ガリレオでさえ大きかったようです。

なんでこんなに極端な真似をしたのかは、まったくもってして謎です。画像で見るだけでも、重心が後ろ寄りだと想像できます。

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入手の経緯

では何でわざわざ入手したかというと、「モンブランのマイスターシュテュックよりも先端部分がスマートで、文字が隠れることがないの書きやすい」というレビューを見かけたからです。

モンブランのマイスターシュテュックが一番という私としては、見過ごせないコメントです。

しかし下記画像のように、どう見ても本体軸(ボディ)はル・グランのように巨大で、重心は後ろ寄りであるように見えます。実際にサイドカーを手に持ってみても、たしかに後ろ寄りです。

重心バランス的には、クロスのタウンゼントと似たような感じです。

しかしレビューなさっていたのは素人ではなかったし、ついつい気になってしまったので、思わず掘り出しものを見つけた際に入手してしまいました。

ファーストインプレッション

実際に使い始めた時点の使い心地は、見た目を裏切りませんでした。

「やけに重心が後ろにあって違和感あるなー」というのが、第一印象です。

ちなみにその時はdunhill印の替え芯(リフィル)が装着されていました。

そこで上記画像のような「替え芯アダプター」に三菱鉛筆ジェットストリーム低粘度インク0.5mm(4c芯)を装着してみました。しかし印象は殆ど変わりませんでした。

そういや今回は苦手な4c芯と替え芯アダプターを利用していますが、これはプラスチック芯を利用できなかった為です。

あまり時間をかけたくなかったので、あっさりとプラスチック芯の装着を諦めて「替え芯アダプタ」を試したという訳です。

このあとでスイスの誇るカランダッシュ・ゴリアット(Goliath)芯も試してみましたが、「クロスのタウンゼントと同じで、カバンの中に署名用として保存しておいても良いかな。」という程度の使い心地でした。

0.38mmジェットストリームで激変

ところで私は「メモの魔力」の前田裕二さんのように、モレスキンのノートブック(ハードカバー)を使っています。このノートは240ページあるのですが、最後の方に行くほど凸凹で書き込みにくくなります。

そこで今回は低粘度インクのジェットストリームの最先端を行く、0.38mmの替え芯(リフィル)を装着してみました。

そしてこれが、一大転機を引き起こしたのです。

まず0.38mmというと、極細です。少年ジャンプ漫画の “ジョジョの奇妙な冒険” の波紋のように、ペン圧は文字通り1点に集約されます。これで凹凸の激しい面に記入しようとすると、できるだけ筆圧を弱めることになります。

そうなのです。この「筆圧を必要最小限に留めながら、力を1点に集約させるという行為が、万年筆の書き方に似ているのです。

(ただし私は「筆圧を極限まで弱める」と表現する通りで、万年筆だとパーカー(国産)でもEF(Extra Fine)またはF(Fine) となります。だからこそ、「万年筆に似た書き心地」となってしまうのかもしれません。)

それにしても0.38mmは面白いです。

いくら書き手が筆圧を弱めても、1点集中なのでクッキリとした文字になります。

そしてペン先を動かす時に程良い抵抗が生じるため、握る箇所を後端寄りにシフトしても全く問題ありません。つまりボールペン本来の重心位置で、ボールペンを握ることが出来るのです。

おまけにジェットストリームは、私のように万年筆ライクに「斜め45-55度」で書くことに耐えることが出来ます。

ボールペンが重量32gと、程良い重量なのも好影響を与えているのかもしれません。

こういった要素が相まって、なんとヒツジ執事をして「万年筆のような書き心地」と表現するような事態になってしまったのです。

いやホント、書いていると楽しくなってくるボールペンです。

まとめ

と、いう次第でして、ダンヒルのサイドカー油性ボールペンに関しては、「0.38mmジェットストリーム替え芯(リフィル)を利用すれば、万年筆のような書き心地になる」という珍しい評価コメントになりました。

そうそう、モンブランの血を引いているダンヒルらしからぬ点としては、本体軸(ボディ)の先端金具とパーカー互換芯ジェットストリーム0.38mmに少しだけ余裕(隙間)が生じていました。つまり書いていると、カチャカチャと音を立ててしまうのです。

これは不良品でなくて個体差の範囲内なのかもしれませんが、私の場合には気になってしまいます。しかしセロテープを貼る程の隙間はありません。今回は久しぶりに透明マニキュアを塗ってガタツキを止めました。

おかげで益々サイドカーの書き心地は万年筆に似てしまったようです。

ちなみに先のようにペン先にセロテープの切れ端を巻き付けて隙間調整する方法が知られていますが、0.3mmの極薄フィルムを接着材で貼り付けるという方法もあるそうです。また私は透明マニキュアを使いましたが、接着剤を使う人もいるのだそうです。

ともかく快適です。しばらくは使い続けてみようと思っています。

それでは今日はこの辺で。

ではまた。