40gを超えるほど「重い高級鉛筆」の使い心地は「重厚」で快適
鉛筆の特長は軽さだけれども、あえて重い鉛筆が使いたくなる時もある。そんな時に活躍するのが、この重量46gという超重い高級鉛筆だ。
ここまでやるかと思われるかもしれないけれども、一本で数万円を超える高級鉛筆も存在する。別に常識に囚われない発想をするのは、ファーバーカステル伯爵だけには限らない。
ちなみに冒頭画像で紹介しているのは、カルティエのロードスターという高級ボールペンである。今回はどうしてロードスターを選択しているかいった背景も含めて、紹介させて頂くことにする。
鉛筆軸
まず正統的に重い鉛筆というと、ファーバーカステル伯爵コレクションのマグナムというパーフェクトペンシル鉛筆が有名だ。4インチマグナムではなくて、4mm芯を採用している。
僕の持っている標準プラチナコーティングモデルだと、直径7mmの鉛筆が標準採用されている。それでも国産鉛筆やファーバーカステル9000番と比べると十分に太いけれども、マグナムで直径は10mmだ。
子供のころに玩具の鉛筆で10mmくらいの特製品にお目にかかったような記憶があるけれども、これも同じように太い。だから当然、重い鉛筆に分類される。
ただしどんなに頑張っても、素材が木材である限りはどうしようもない。おまけに使われているのはカルフォルニア杉だ。手に持つと実に快適だけれども、高級筆記具に特有の「重さ」は感じられない。
ホルダー利用
さて木材の軽さがしっくり来ない場合には、一般的にはホルダーを利用する。標準的な鉛筆の芯は直径2mmだけれども、その芯だけを取り扱う筆記具も存在する。シャープペンシルよりも、「ホルダー」という呼び方が一般的だ。
これは知らずに購入して嘆く人も多いけれども、シャープペンシルとかメカニカルペンシルに分類してしまっても良いか悩ましい。シャープペンシルに特有の、「芯を自動的に少しだけ突き出す機構」が装備されていないのだ。
うかつにノックしたまま斜めにすると、2mmの替え芯が全て流れ出てしまう。これはノックをやめた時にだけ替え芯が動かないように固定する「ホルダー」なのである。
ちなみに芯を削るための専用機器も販売されているが、現在の僕は在宅勤務なのでカッターなどで削っている。(昭和世代は子供時代、カッターで鉛筆を削っていたのだ… うちもそうだったけれども、鉛筆削りを買うお金が無かったから)
さてどうしてこのようホルダーが製品化されているかというと、主に製図用となる。鉛筆画家の道具にもなる。芯の固さも各種揃っており、その時のニーズに応じたものを選ぶことが出来る。
ある意味で鉛筆の木軸が必要ないので、地球にやさしいと言えるかもしれない。
高級ボールペン利用
さてホルダーも悪くないけれども、これはあくまで道具を使うイメージになる。
今一つ「俺は重要なことに取り組んでいるのだ」という雰囲気を盛り上げるには役不足である。それで僕のような者は、高級ボールペンの本体軸を使ってしまうことがある。
世の中には純正芯でなく、三菱鉛筆ジェットストリームなどの4c芯を利用可能にする “リフィルアダプター” と呼ばれるアイテムが存在している。
ここで4c芯の代わりに2mmの鉛筆替え芯や鉛筆芯を装着してやれば、高級ボールペンが高級鉛筆に変化する。(さすがに高級シャープペンシルだとか高級メカニカルペンシルと呼ぶと、ホルダーと同様に顰蹙を買いそうだ)
ちなみに4c芯よりも鉛筆芯の方が微妙に細いので、セロテープなどを巻いて太さ調整すると良い。そうすればアダプターにピッタリをハマって、替え芯がボールペンから飛び出してくるようなことが起きなくなる。
そういえばアダプターは付箋紙などを利用して自作することも可能だけれども、今回はリフィルアダプターの方が便利だと思う。何しろ鉛筆芯は短くなっていく。その分だけ芯を突出させる必要があるけれども、アダプターを使えば簡単だ。
爪楊枝の切れ端でもアダプターの中にいれて水増しすれば、その分だけ替え芯が突出するようになる。
さてどうしてカルティエのロードスターを利用しているかというと、その理由は基本的に重さとなる。それに手に持った時に、実にしっくりと馴染む。
実は操作性という観点ではモンブランのスターウォーカーがあるけれども、さすがにダイヤモンドエディションには三菱鉛筆ジェットストリームを装着している。これ以上、おかしな真似はしたくない。
かといって24金塗装の金属モデルだと、手に持った時に冷たい。ファーバーカステルのイントゥイションだと、どうも手に馴染まない。
そんな訳で何故かクリスマスシーズン近辺で大活躍するカルティエのロードスターだけれども、今は高級鉛筆として利用されている。もともと大した頭脳ではないので限界はあるけれども、少なくとも頭の中に浮かんだアイディアを書き込んでいる時は楽しい。
この楽しさが、わずかながらに仕事の質を高めてくれているような気がする。紙一重で勝負している世界にいると、こういった点も結構大切だったりする。
まとめ
やっぱり重い高級筆記具は重厚感があって、使い心地は快適だ。おまけにロードスターの46gという重さのおかげで、あまり筆圧をかけずに鉛筆を使うことが出来る。
おまけにリフィルアダプターのおかげで、ホルダー並みの感覚で簡単操作ができる。高級ボールペンとして長時間筆記に使うのは難しいけれども、アイディアを書き留める高級鉛筆として使うには結構適しているかもしれない。
それにボールペンのメーカーは、あの宝石で有名なカルティエだ。本体軸の後端にも宝石が埋め込まれており、なかなか雰囲気があって楽しい。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:小野谷静