0.28mmのジェットストリームのエッジ替芯に適した性質のボールペン
0.28mmのジェットストリームのエッジとは、難しい替芯(リフィル)です。
様々な工夫を凝らして開発されましたが、「しょせんはボールペン」です。
ペン先のボールが回転することにより、インクが出ます。いくら低粘度インクを採用しているといっても、紙面に直角に近い角度で使用されるのが理想的です。
開発元の三菱鉛筆では、低重心で円錐形の太軸ボールペン軸も製品化しました。
ちなみにこれは重さ14gで、クロスのクラシックセンチュリー並みの軽さです。
しかし一方では逆転の発想により、重さ46gの超ヘビー級ボールペンで使用したり、逆円錐形のボールペンで使用するという使い方も考えられます。
実はこういう使い方も理論的には間違っておらず、実際に快適に使えています。
今回はそんな3本のオススメなボールペンと、その装着&使用方法を紹介させて頂くことにします。
鉄板のアウロラのオプティマ
0.28mmのジェットストリームのエッジを利用するのに、最もお手軽で使いやすい高級ボールペンです。
その理由は二つあります。
そもそもジェットストリームのエッジ替芯に限らず、どんな替芯でも使いやすいことで評判です。文具ライターの小日向京さんも、利き腕に問題が生じた時、このアウロラのオプティマに助けられたとのことです。
別に彼女に限らず、アウロラのオプティマをオススメする人は多いです。それから1994年に創立75周年記念モデルが発売されているという歴史にも感心させられます。
さて前置きが長くなりましたけど、このボールペンが第一に嬉しい点は、他のボールペンのように替芯のプラスチック部分を削るような小細工をしなくて済むことです。
下記画像のように、特に何も加工していないレッド(赤色)の替芯が装着可能です。
さすがに大型付箋紙などを替芯の周囲に巻き付ける “即席替芯化” は必要となりますが、それだけで作業完了です。これがアウロラのオプティマで嬉しいことの一つ目です。
そして二つ目は、冒頭画像の下側にあるアウロラのオプティマからお分かりになるように、かなり逆円錐形に近いデザインであることです。この後端側が太くなっているおかげで、自然とボールペンを持つ角度が直角に近づきます。
こうやって見ると、実は最上段のモンブラン・スターウォーカーよりも、真ん中のアウロラ・オプティマの方が後端が太くなっていることが分かるでしょうか。
そして “究極” を追い求める筆記具マニアたちは、さらに角度を直角に近くする “技” を使えます。
アウロラのオプティマはボールペン中央に「グレカ・パターン」の刻印された金属リングが装着されています。この後ろに、ビニルテープなどを貼り付けてしまうのです!
下記画像は三枚重ねにしたビニルテープを貼りつけたものです。写真で見ても分からないでしょうけど、がんばって肉眼で目視してさえ、ビニルテープが貼ってあるとは分かりません。
それよりもペン先の0.28mmのジェットストストリームエッジの先端の方が、このボールペンを観察した人からは違和感を持たれてしまうでしょう。「高級ボールペンにも、ペン先が細くなっているものがあったの?」と。
ちなみにアウロラのオプティマには、いろいろなカラーが提供されています。私が持っているのはブラックパールとグリーンの二軸だけですけど、なんでも十種類以上も存在するとのことです。
クセありのダンヒル
しばらく前に報告させて頂いたように、私はダンヒルのサイドカーというボールペンでも0.28mmのジェットストリームのエッジを使用しています。
https://www.note1005.com/?p=2186/
これは記事に書いたように、ジェットストリームエッジ替芯のプラスチック部分を削る作業が必要となります。あまり “スマート” とは呼べない方法です。
しかし0.28mmのジェットストリームエッジは快適で、メモを取るのが楽しいです。
それに何より、上記の記事で紹介しているボールペンは、映画「容疑者Xの献身」などで有名なガリレオ湯川先生が、映画「真夏の方程式」の冒頭場面(電車内でのクロスワードパズル)で使っていたものです。
彼が映画で演じていたように、私が持っても筆記角度が高くなります。嬉しいことに、0.28mmという「ありえない」ボール径を快適に利用できる一本です。
真打はカルティエ
さて最後に登場するのは、真打となるカルティエのロードスターという高級ボールペンです。46gと超ヘビー級であり、さすがに「鬼滅の刃」の炭治郎君でも精一杯のようです。
これは先ほどのアウロラのオプティマで紹介した画像の通りで、最も逆円錐形に近いです。一般的な使い勝手は、下記記事で紹介しています。
https://www.note1005.com/?p=2181/
これに何とか0.28mmのジェットストリームのエッジを装着できないかと試行錯誤していたら、ついに無事に装着できるようになりました!
何事もそうなのでしょうけれども、分かってしまえば簡単なことです。カルティエのボールペンの場合は、上記画像のようにスプリングが小さいのです。だからこのスプリングを無事通過できるようになるまで、ジェットストリームエッジのプラスチック部分を削る必要があるのです。
この替芯を削る作業は物悲しいです。本気で三菱鉛筆さんによる0.28mmジェットストリームエッジのパーカー互換芯版を期待したいところです。
もちろんアウロラのオプティマは立派な高級ボールペンですし、使い勝手も悪くありません。しかし残念ながら、このカルティエのロードスターによる、凶悪とも呼べるほどの角度には及びません。
なんだかんだ言って、さすがはカルティエのボールペンです。
存在感があるし、使っていて楽しいです。本当にパーカー互換芯タイプのジェットストリームエッジの登場を期待しています。
まとめ
以上が、0.28mmのジェットストリームのエッジ替芯に適した性質のボールペンでした。
結局のところは簡単な話で、ボールペンを紙面に直角近い角度に保ち、そっと書くのが理想的だということです。
しかしこんなに小さい0.28mmのボール径の替芯を開発するとは、三菱鉛筆さんには脱帽です。今も大変に楽しく使わせて頂いています。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:四葉静