[四本目] クロスのポーラス芯でダースベイダー卿ピアレス125を使う

クロスのポーラス芯で書いた文字

 さてこのところクロスのピアレス125ダースベイダー卿モデルに傾倒している訳だが、思わぬところから伏兵が出て来た。

 なんとオークションサイトを定期チェック(2022.12.16)したところ、送料込み18,000円でダースベイダー卿モデルが出品されていたのだ。ちなみに半年前には別オークションサイトで19,000円だった。
 まあ新品だと60,500円(2022.12.03時点)であっても、中古品の筆記具は数分の一となってしまうのが一般的だ。それを承知で、僕はピアレス125ダースベイダー卿モデルを3セットも購入した訳である。

 それはそれとして、これは悩ましい掘り出し物だった。
 なまじ商品市場の調査や分析といったことを生業としていると、こういう時には困ってしまう。理性的に考えれば、3本あれば十分なのだ。
 おそらく僕の年齢だと、さすがに3本全てを失う前に、高齢で自分の命を失ってしまいそうな気がする。4年に一度のオリンピック周期で紛失したとすると…
 いかん、いかん。

 しかし自分の良心が必死に「もちつけ、もちつくんだ!」と叫ぶ一方で、僕には一つやりたいことがあった。
 それが今回のタイトルのように、ピアレス125ダースベイダー卿モデルでポーラス芯を使ってみることだった。

 米国のトランプ元大統領が愛用したことで有名なCrossポーラス芯だけれども、そのサインペンみたいな書き心地は独特なのだ。実は僕もクロスのセンチュリー2セレクチップモデルを紛失前には、ポーラス芯を装着していた。
 トランプ元大統領やバイデン大統領が使用するCrossセンチュリー2セレクチップモデルだけれども、中古品を手に入れた時にポーラス芯が付属していたのだ。
 冒頭画像の付箋紙に書かれた文字が、ポーラス芯の細字F(8444)で書いてみたものだ。その気になれば他メーカーのローラボール向けボールペンにも装着できるだろうけど、ポーラス替芯はクロスからしか販売されていない。

クロスのポーラス芯

 細字(F)も書きやすいけど、中字(M)も捨てがたい。20年以上も使い続けている人もいるとのことだ。僕も余裕があったら、いつでもポーラス芯を使えるボールペンが欲しい。

 と、書きつつ、実はこの想いは達成されていた。
 紛失したセンチュリー2の代わりに入手した新センチュリー2(これもUSED品)には、ポーラス芯がオマケされていたのだ。
 それも二本も!

 そうなるとセンチュリー2も悪くはないけれども、ピアレス125ダースベイダー卿モデルでも使ってみたくなる。しかし今まで購入したダースベイダー卿モデルは全て60,500円で購入した新品だ。
 つまりせっかくの新品を使ってまでポーラス芯を使うことに躊躇(ちゅうちょ)していたのだ。
 そんな時に登場したのが、このUSED品のピアレス125ダースベイダー卿モデルなのだ。

クロスのポーラス替芯

 結局のところ僕はいつものように自分の良心を誤魔化し、そそくさとオークションサイトでピアレス125ダースベイダー卿モデルの購入ボタンを押してしまった。
 出品者さんは「予備品ですか。あなたは筆記具の愛好家かスターウォーズのファンですね」とおっしゃって下さったが、まさか既に三本も所有しているとは想像していなかっただろう。
(まあ普通は、こんなにストックを保有している者だと、物好き者でも稀ですな… ゼロとは言えないのが、この沼に踏み込んでしまった者たちの恐ろしさだけれども)

 ちなみにネットでポーラス芯をレビューしている方々のコメントを拝見したら、SARASAの0.3mmと三菱鉛筆ジェットストリームも愛用しているという方も存在した。
 僕はSARASAドライ0.4mm (JLV0.4)と三菱鉛筆ジェットストリーム0.28mmを使っている。ここら辺、「類は友を呼ぶ」というところだろうか。

 ともかく僕は、とうとう四本目のピアレス125ダースベイダー卿モデルを入手してしまった。今は「焼け石に水」だけれども、職場では缶コーヒーを1/3くらいにお湯割りして、一本の缶コーヒーを使って三回くらいに分けて利用している。
 これは東野圭吾氏による探偵ガリレオで「インスタントコーヒーを限りなく薄くして飲む湯川学」にヒントを得たものだが、その貧乏っぽい飲み方は気に入っている。

(ちなみに今年2022年は、東野圭吾氏の「沈黙のパレード」が映画化された。残念ながら映画館へ行く暇が無かったけれども、ぜひレンタルされるようになったら観たいものだ)

 ちょっと見た目では分かりにくいけれども、左側がCrossポーラス芯(F)の黒字で、右側がゼブラSARASAドライ0.4mmの青字だ。親父がCrossの替え芯が高価で購入することが出来ないとボヤいていたけれども、息子の僕も似たようなものだ。

 … とは言いつつ、半ば文具ライターとして生活しているとはいえ、さすがにピアレス125ダースベイダー卿ボールペン4本は堪える。せっせと仕事に励んで、少しでも生活を楽にする必要がある。
 漫画のチェーンソーマンを読んで、「ぶっ飛んだことをしない限りはジリ貧になっていく」と背中を押されてしまったけれども、現実は厳しいのだ。
(だから僕のように「頭のネジがいかれたヤツ」は稀な存在で、殆ど全ての人々は地道に毎日を頑張って生きている訳だ)

 さてともかくサジ… というか、サイは投げられてしまった。我が家は僕のせいでルビコン川を渡ってしまった訳で、年末年始は忙しいことになりそうだ。

 そういえば「どうして今のピアレス125ダースベイダー卿モデルの替芯を入れ替えないんです?」と疑問に思う人がいるかもしれない。
 その通り。
 その通りなんですよ。

クロスのピアレス125

 実はピアレス125ダースベイダー卿モデルの初号機には、SARASAドライの替芯を無理やり詰め込んでいるのだ。だから迂闊に引き抜くと、替芯がダメになりかねない。
 これはプラスチックの替芯をギリギリまで削り、その代わりに鉛シートを削りながら目一杯詰め込もうとしたからだ。そうやって初号機の重心バランスは、ボールペン本体軸の前方側へ移動しているのだ。
 それに赤いシリコン輪ゴムを巻いていると、キャップを着用させることが出来ない。ポーラス芯はPorous(多孔質の/コンクリの)という英語が示すように、やはりサインペンに似ている。
 だから深い考え事をする場合には初号機を使い、ちょっとした書き物をする程度の時や、持ち歩きする時には四号機(ポーラス芯装備)を使いたいのだ。
(ポーラス芯、万歳!)

 たかが文房具、されど文房具。
 あなたがまだ文房具の沼にハマっているのでなければ、ぜひ一度はハマってみることをオススメしたい。
 修羅の世界だけれども、それはそれで楽しいのだから。
 (まさしくダークサイドと言えるかもしれない)

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静