鉛筆のような書き心地:カランダッシュのエクリドール油性ボールペン
どうもヒツジ執事は行きつくところまで行かないと、落ち着くことが出来ない性分のようです。
どうしても約8kmは書けるというゴリアット(Goliath)芯が気になってしまい、ついついカランダッシュのエクリドール油性ボールペンを購入してしまいました。
今回はその使い心地をレポートしたいと思います。
なお今回購入したのは、「芯」です。オマケとして付属していのが、エクリドールのローテーション軸というボディです。(そういうことにしておいて下さいっ!)
やる気が出るボディ
多くの方がレビューなさっていますが、エクリドールの金属ボディは、持つと気持ちが引き締まります。たしかに存在感があります。
ちなみにカランダッシュのエクリドールには数多の種類が存在しますが、ヒツジ執事が手に入れたのは、ローテーションというボディです。普通の鉛筆のように直線的な六角形なのに、職人さんが彫り込んだ模様のため、一見すると捻じれているように見える不思議な軸です。
巷では矢じりのような模様であるシェブロンの人気が高いようですが、ヒツジ執事は「シェブロン」–>「スターゲート(米国映画/人気TV番組)」を連想してしまいます。今回は、正式名称 “CARAN d’ACHE カランダッシュ ボールペン エクリドール ローテーション シルバー&ロジウムプレート” (長い名前っ!) を入手できたことに満足しています。
そういえばスターゲートでは、ロシアの科学者とスターゲート・チームが水惑星に冒険へ赴く際、「この潜水艦は安心して乗って頂いて大丈夫よ。何たってスイス製だから!」という冗談がありました。奇しくもカランダッシュのボールペンもスイス・メイドです。
クリップはポケットに掛ける時には、スッとしまうことが出来る形状です。そしてポケットから外す時には若干引っかかるように作られており、スターゲート・チームのように全力疾走してもボールペンが飛び出すことは無さそうです。さすがは “It’s Swiss.” といったところでしょうか。
それにしてもMikanお嬢様も現在は、無印良品の六角形型シャープペンシルをお使いになっています。0.5mmタイプがあったら、思わず手が出てしまうかもしれません。それほど六角形は、大変に魅力的です。
ちなみに一緒に写っているボールペンは、細い方がファーバーカステル伯爵コレクション(標準軸)です。太い方は同じくファーバーカステル伯爵コレクションのイントゥイション(太軸)シリーズです。
頼もしいゴリアット芯
カランダッシュはモンブランと同じく、独自の替え芯(リフィル)を製造しています。それが有名なゴリアット(Goliath)芯です。くっきりとした文字で、ダマが出ません。約8kmも書ける、大容量タンクなのだそうです。
ちなみに冒頭画像を見て、「おや?」と思われた方は流石です。実はゴリアット芯は、標準軸の伯爵コレクションに装着されています。そしてカランダッシュのエクリドールに装着されているのは、三菱鉛筆ジェットストリームの0.5mmです。太軸のイントゥイションには、ジェットストームの青色0.7mmが装着されています。
なんでこのような真似をしているかと言いますと、私が最も頼りにしているファーバーカステル伯爵コレクション(クラシックコレクション)で、ゴリアット芯の書き心地を試してみたかったからです。そのために事務用ボールペンの芯を使って、伯爵コレクション(パーカ互換のG2タイプ)に装着できるように細工しました。
ちょうどゴリアット芯の後ろに装着可能な穴が開いていたので、助かりました。
ちなみにこのゴリアット芯、カランダッシュのエクリドールに装着されている時には大したことが無いような気もしましたが、伯爵コレクションに装着してみて印象が一変しました。
ともかく「サラサラ」と書けます。最近はモレスキン手帳を使っているのですが、まるで鉛筆で書いているような印象を受けました。
低粘度インクとは一味違った書き味です。ジェットストリーム1.0mmリフィルだと「ヌラヌラ」です。デフィ向けエス・テー・デュポンのイージーフローは「スラスラ」という印象で、万年筆に近い感じです。
このサラサラというのは、まさに鉛筆に近いという感覚でしょうか。これが噂に聞くゴリアット芯というものなのかと驚きました。もちろん、イージーフローのように斜めにしても書くことが出来ます。
ヒツジ執事はボールペン本来の持ち方も出来ますが、安物ではあったけれども、中学校から万年筆を使っていました。そういう者には斜めに寝かせて書けるのは、大変に嬉しいことです。
イントゥイションとはイマイチ
これはヒツジ執事だけだと思いますが、残念ながらイントゥイションでゴリアット芯を使うことが出来ませんでした。小一時間で、親指の付け根のあたりに疲労感のような感覚が生じてしまいました。
もともとヒツジ執事が万年筆を使っていたのも、本来の筆圧がそんなに高くないことが原因です。筆記具やノートに拘るのも、メンタル面だけの問題ではありません。ファーバーカステルの純正芯では違和感があったので、イージーフロー(低粘度インク)を購入したという経緯があったりします。
残念ながらヒツジ執事は、ゴリアット芯だとイントゥイションを長時間利用することが出来ない握力のようです。一方でエス・テー・デュポンのイージーフローはOKですが、少々お値段がかかります。
それからしばらく使わないと、イージーフローはインクフローが良くなり過ぎてしまうという特徴があります。このためメインの筆記具として利用する必要があります。ゴリアット芯が使えないのは残念でした。
ちなみに下記の画像の左側がエクリドール&ジェットストリーム0.5mmで、右側がイントゥイション&ゴリアット芯です。先に説明したように、クッキリとした文字です。(それにしても、我ながら達筆過ぎて涙が…)
エクリドールは今一つ?
これも大変に残念なことですが、ヒツジ執事とエクリドール・ローテーションの相性も今一つでした。
年寄りのヒツジ執事だと、少しだけ滑ってしまうのです。クロスのクラッシック・センチュリーという細軸でクロームはツルツルと滑りますが、カランダッシュのエクリドールでも「ツル」程度は滑ってしまうのです。
ネットで検索したところ、エクリドールのシェブロンでも若干滑るとコメントなさっている方がいらっしゃいました。
ただしヒツジ執事の場合、ちょっと工夫したら快適に使えるようになりました。
それは指先が触れる部分に、セロテープを巻いてしまうのです。ヒツジ執事はクロスのクラッシック・センチュリーも、セロテープを巻けば快適に利用できます。
なおエクリドールのローテーションで嬉しいのは、注意深く見てもセロテープを巻いているとは分からないことです。残念ながらクロスだと、指先だけ巻いても滑ります。そして全体にテープを巻くと、1m先からでも分かってしまいます。この点、購入したのがローテーションだったというのは幸運でした。
それからエクリドールに共通だと思いますが、ともかくノック音が静かでした。スッっとポケットから取り出して、サッと書けます。軸を捻って芯を出す回転式(ツイスト式)だと、このようには行きませんね。人気が高いのも頷けます。
そうは言っても、ローテーションでも打ち消せない弱点がありました。
それは、「エクリドールは目立つ!」です。尊敬する先輩がカランダッシュ利用者であることが会議で一目瞭然に分かったように、銀色の六角形は目立ちます。ビジネスマン的には「落ち着いたいぶし銀の雰囲気」なのですが、モンブランNGだった某所へ持参するのは控えた方が良さそうです。
ちなみにカランダッシュにはレマンというシリーズも存在します。こちらはスリム型でも重さ35g程度と、かなりファーバーカステルの伯爵コレクションに近い感じになります。ただし外観は派手でもなければ、落ち着き過ぎてもいません。どんな場所にも似合うことでしょう。
モンブランのマイスター・シュテュックやスター・ウォーカーだと被って困るという方で、伯爵コレクションの特長的なデザインは少し… という方だと、エクリドールに加えてレマンも購入なさるケースもあるとのことです。
まとめ:期待大の新戦力
こうして期せずしてカランダッシュのエクリドールが手に入った訳ですが、大変に良い経験を積むことが出来たと思います。
ともかくゴリアット芯は、噂以上の実力でした。ジェットストリームは顔料+染料インクなので黒々とした文字ですが、ツルツルの年賀状に書き込むことが出来ません。三菱鉛筆パワータンク(加圧式リフィル)のように仰向けになったら使えないですが、ファーバーカステルの純正芯よりも書き心地は良いです。
ファーバーカステルの伯爵コレクションは究極奥義ともいえる使い心地で、ベストの中に隠れたYシャツの胸ポケットから取り出すのも簡単です。それに比べたら今一つかもしれませんが、ともかく製品価格が異なります。
また適度な重さ(24g)なので、安定して書くことができます。ゴリアット芯に飽きたら、ジェットストリームの細文字で楽しむことも出来ます。この細軸&長さと、ポケット版モレスキン手帳の組み合わせは絶妙です。
「さすがはカランダッシュ!」と言ったところでしょうか。素直に脱帽した次第です。