モンブランのマイスターシュテュックと互角なアウロラ・オプティマ
今回はアウロラのオプティマ油性ボールペンを入手したので、その使い勝手をレポートしたいと思います。
最初に結論を言ってしまうと、モンブランのマイスターシュテュックと大変に良く似ています。
マイスターシュテュックは長い年月をかけて、世界中の人々に最も適したサイズになっています。一方でアウロラのオプティマは、それよりも微妙に太くなっています。50歳以下だとオプティマに軍配が上がるようなケースもあるかもしれません。
そもそも使う人によってベストなボールペンは様々ですし、デザインや選択可能なリフィル(替え芯)の違いなども大きく影響します。その影響を受けてしまうヒツジ執事のような者ととしては、自分にとって大変良い軸(オプティマ)を入手できたと満足しています。
さてそれでは、レポートを始めることにしましょう。
購入のきっかけ
アウロラのオプティマ油性ボールペンは、先日の記事で紹介したように、尊敬する文具ライターの小日向京さんが日常的に使っていたボールペンです。(2017年時点)
私はつい先日まで、モンブランのマイスターシュテュックとスターウォーカーを、10年以上は日常的に使っていました。そのマイスターシュテュックを高く評価している彼女は、大変に興味深い存在でした。
そして彼女がモンブランと同じように使い勝手を高く評価しているアウロラのオプティマ油性ボールペンも、大変に興味深い存在でした。
小日向京のひねもす文房具|第四十七回「万年筆シリーズのボールペン軸」 (2016.07.06)
そのような折、たまたま2018年2月10日に、Amazon Japanがグリーン軸を19,800円(税込み)で販売していることを知りました。何と「残り1本」です。伊東屋さんを始めとする各ショップでは、43,200円(税込み)というお値段でした。Amazon Japanでさえ、他の軸は29,800円でした。気が付いたらいつの間にか意識を失っていたようで、Amazonでの注文確定画面が表示されていました。
アウロラのオプティマとは
まずは公式サイトの説明を紹介しましょう。
1930年代のベストセラーの復刻版。 アウロラ特製のアウロロイド樹脂を使用し、リングには、古代ローマ時代のグレカ・パターンが、ボディにはアウロラ社の創業当時の社名が刻印されています。
冒頭画像の通りで、前軸と後軸が重なる部分が「古代ローマ時代のグレカ・パターン」なのだそうです。公式サイトで紹介されている他モデルには採用されていません。
ちなみに他モデルの中には、マイスターシュテュックのようなレジン樹脂を採用したシリーズもあります。
アウロロイド樹脂はセルロイドに似た素材として開発されたため、光沢や発色はセルロイドにの良さを引き継いでいるのだそうです。
それにしてもさすがはイタリア最古(1919年創業)の筆記具メーカーといったところでしょうか。1つの筆記具メーカーだけで、豊富なラインアップを揃えている点には驚かされました。
ちなみにオプティマは一般的な筆記具メーカーの油性ボールペンと同じく、後軸を捻って芯を出す「ツイスト式」です。替え芯(リフィル)には、パーカー互換芯(G2芯)を利用可能です。
ヒツジ執事が今回購入したのは油性ボールペンですが、もちろんオプティマのシャープペンシルや万年筆なども製品化されています。
オプティマの気になるところ
まず最も気になったのは、ボールペンが収納されていた “ケース” です。
やたら大きいです。縦6cm、横14cm、奥行き21cmといった塩梅です。うな重の重箱よりも大きいです。そして黒光りする外箱とメーカーロゴが、ヒツジ執事の趣味とは今一つ一致しません。
「筆記具は文具ではなくて道具だと言っているのに気にするのか?」と問い詰められてしまいそうですが、ヒツジ執事にしてもロボットではありません。感性に合う、合わないということもあります。
もしかしたら、これは改良前の旧式パッケージで、そのためにオトク値だったのかもしれません。しかしいずれにせよ、少しばかり “今の時代” に合っていない気がしました。
ただしボールペンの軸本体は大したものです。最初は不安に感じられる部分もありましたが、すぐに理由が分かって安心しました。
まず、いかにも「イタリア製!」といった感じの造りです。前軸と後軸の隙間には、相当な余裕が感じられました。ペン先の軸穴にも、相当案余裕がありそうです。それから深夜にボディ(本体軸)を握った時に、ボディと手の摩擦で「ギリッ!」という音が立つ時がありました。
この3点が、ボールペン本体で気になったところです。
しかし前軸と後軸の間に余裕があるといっても、グラつくようなことはありません。それに確認してみると、モンブランのマイスターシュテュックも同様に余裕が存在します。
それから実はペン先は、ギチギチよりも余裕のあった方が、いろいろなメーカーの替え芯(リフィル)を装着することが便利です。特に問題なしと言える範囲内です。
そして最後に残ったのが、手でボディを握った時に生じる音です。これはアウロロイド樹脂であることと、ヒツジ執事の手の組み合わせが原因でした。
乾燥しきった部屋の中で、老境のヒツジ執事が乾いた手で握ると、「ギリッ!」という音が立つのです。逆に言えば、乾いた手でも滑らない樹脂だと評価できます。
ヒツジ執事の場合は、金田一耕助風に髪をモシャモシャと掻きむしったら、音は立たなくなりました。というか乾燥した手の状態は良くないので、少量の保湿剤を使った方が良いのかもしれません。(まだ若いつもりでしたが、そういうお年頃なのですな。残念ながら)
ちなみに最初に少し気になった「軸と軸の隙間」ですが、これもアウロロイド樹脂であることが原因でした。モンブランのレジン樹脂よりも、若干硬質のようです。それと軸の接合部分が、オプティマは両側とも金属を使用しています。それで芯交換などの時に、造りが今一つのように感じられることがあるようです。
[chat face=”Mikan.jpg” name=”Mikan” align=”left” border=”red” bg=”none” style=”maru”]やっぱり芯を出し入れする時に、カチャカチャ音がするよー[/chat]
しかし使い始めて1週間程度ですが、これはどちらも一流品であり、設計思想の違いであるらしいことが分かって来ました。これは後述の比較パートで説明したいと思います。
なおアウロロイド樹脂ですが、これは興味深い存在です。「ギリッ」と音がしたのは、新品だからです。これは表面が傷付いていくのに応じて変わって行くかと思います。おそらく音はしなくなると予想しています。
(ほぼ無使用なマイスターシュテュックと表面傷だらけのマイスターシュテュックを持っていますけど、握った時の音が違います。静かになります。オプティマも同じと予想します)
オプティマの良いところ
さてアウロラのオプティマは「使っていて楽しい」ボールペンです。イタリヤの筆記具メーカーと聞いて、「なるほどなあ」という感想です。
まず私のグリーン&ゴールド軸ですが、カジュアルな雰囲気が良いです。マンガに喩えるのも何ですけど、ジョジョの奇妙な冒険に登場する「笑った花京院典明」という雰囲気です。そういえば彼のスタンド(幽波紋)も、「法皇の緑(ハイエロファントグリーン)」という緑でした。
「常に冷静で、分析力が高い上に頭の回転も速い、メンバーの中での頭脳担当。彼の頭脳で幾度となく敵の特性や弱点を見抜き、メンバーのピンチを救ったり勝利に導いている。」だから、ヒツジ執事と共通する部分も多いかと思います。(キッパリ!)
さてマンガはさておき、多彩に変化する色合いが良いです。さすがにセルロイドベースのアウロロイド樹脂です。
今まで辛い時には、モンブランの “100周年記念スターウォーカー”(スター・プラチナ) を使うことが多かったです。しかしこれからは、こちらのグリーン&ゴールド軸の出番も増えそうです。
ただしグリーンとゴールドの組み合わせが見事にマッチしているので「楽しい雰囲気」が醸し出せるのですが、さすがにビジネスの場面では派手過ぎるかもしれません。
そういう方には、小日向京さんと同じブラックパールがオススメできるかと思います。
こちらはシルバー系なので、ビジネスの場面でも問題なく利用できるでしょう。色が異なるだけなので、いずれも手にぴたりと沿うように馴染み、ペン運びの良さも抜群であることを保証できます。
モンブランと使い比べてみた
いずれ劣らぬ一流のボディ(軸)です。せっかくの機会なので、両者を比較してみました。
オプティマは一回り太い
面白いので、目を閉じて両者を識別できるか試してみました。オプティマの方が1mmほど太いとの話ですが、たしかにそのようです。目を閉じていても、違いは分かりました。
ただしこの太さは、ペン運びには殆ど影響しない程度です。ヒツジ執事の好みからいうと、アウロラの方がペン運びが僅かに良いと言えるかもしれません。
筆記角度はオプティマ
アウロラのオプティマは、後軸がマイスターシュテュックよりも一回り太いです。このため、ボールペンを握った時の角度が、若干だけれどもボールペン向けの60度以上に近づきます。
ただしマイスターシュテュックも大したものです。ヒツジ執事のボールペンの中では、マイスターシュテュックとオプティマとファーバーカステル伯爵コレクション(従来品)だけが、替え芯(リフィル)が何であっても書き心地への影響が小さいです。
リフィルの豊富さはモンブラン
アウロラのオプティマは、パーカー互換芯(G2芯)を利用できます。そしてさらに保証外の使い方になってしまいますが、カランダッシュのゴリアット(Goliath)芯も装着することが出来ます。
ちなみにゴリアット芯はファーバーカステル伯爵コレクションとは異なり、後端にフタのような厚紙を加える方式で装着します。
ボールペンの内部機構は、メーカーによって異なるということでしょう。ボディ(軸)に応じてゴリアット芯アダプタを作り変える必要があるというのは、なかなか興味深い体験です。
そういえば画像の瓶は、ネイル用の透明マニキュアです。ペン先がカタカタとすることを防止するため、軽く塗布しています。
さてそれはさておき、モレスキン手帳使いのヒツジ執事には大変に残念なのですが、ゴリアット芯のF(Fine)はZEBRAやジェットストリームの4C芯のように、書いている途中で掠れて来てしまいました。
使い始めたばかりでインクフローが安定していなかったことが原因かもしれませんが、使い込まないと利用できない替え芯(リフィル)というのは困りものです。
モレスキン利用者は、ゴリアット芯の場合はB(Bold)かM(Middle)のみ利用可能だと考えるのが良いでしょう。
ちなみにモンブランの場合、純正芯(ジャイアントリフィール)のF(Fine)で、モレスキン手帳に問題なく書き込むことが出来ました。またモンブランはペン先の軸穴をダイヤモンド棒ヤスリで拡張すれば、パーカー互換芯(G2)芯やゴリアット芯も利用できます。
ボールペン本体を加工するのがイヤだという方は、こちらの記事のように、替え芯(リフィル)の先端を削って装着することも可能です。
なかなか際どい技を使うことになりますが、替え芯(リフィル)に拘る場合には、マイスターシュテュックの方が便利だったりします。
まとめ (噂通りの逸品)
さてマイスターシュテュックとの比較で長くなってしまいましたが、アウロラのオプティマは「基本に忠実で素直なボールペン」だと言えます。ヒツジ執事としても、イチオシの油性ボールペンとなります。
問題はクロスのアベンチュラのように、Mikanお嬢様に取り上げられてしまうリスクでしょうか。重さ24gとマイスターシュテュックやアベンチュラと同じです。こちらの方が一回り小さいので、実用性はアウロラのオプティマの方が上です。
[chat face=”Mikan.jpg” name=”Mikan” align=”right” border=”red” bg=”none” style=”maru”]たしかにオシャレで気に入ったー[/chat]
それにオプティマはパーカー互換なので、三菱鉛筆ジェットストリームのタンク芯をそのまま装着できます。4C芯アダプタで青色を使えることも魅力です。
お値段がお値段ですが、こういったボールペン長く使うことができます。ヒツジ執事のモンブランなど、20年近い付き合いです。
興味ある方には、ぜひ一度お使いになってみることをオススメしたい逸品です。
またお客様との打ち合わせや、会議で被って困る方にも良いかもしれません。
[box03 title=”モンブランのマイスターシュテュックと互角なアウロラ・オプティマ”] [/box03]
P.S.
なんかそのうち、オプティマのブラックパールも購入してしまいそうな予感が…..