高級ボールペンと普通のボールペンの違いとは何だろうか?【リスクの排除】
こんにちは、ヒツジ執事です。
会社では時々、数千円どころか数万円するボールペンを持ち歩いている人を見かけます。
雑誌の特集記事で、社長さんやトップ営業さんたちの文房具を紹介していることも多いです。その時の彼ら/彼女はモンブランのマイスターシュテュックだとか、ペリカンのスーベレーンといった高級ボールペンで取材対応しています。
(実はDeNAの南場智子氏も、この本で初めて存在を知りました)
もはや執事業を通り越してボールペン収集家と化しているヒツジ執事ですが、一体どうして高級ボールペンを使っているのか不思議に思う人もいるかもしれません。
今日は実際に使っている者として、いったいどうして高級ボールペンを使う必要があるのか、実際に長年使っている者の立場から本音を語らせて頂きたいと思います。
見た目の豪華差など存在しない
この記事は、高級ボールペンを買うのが良いか悩んでいるいる方向けに作成しています。まずは高級ボールペンに対する「よくある誤解」を解くことから始めましょう。
見た目で区別することは困難
まず高級ボールペンというと、モンブランのようにピカピカと黒光りする外観を想像する人がいるかもしれません。
これ、そんなことはありません。百円ショップへ行くと分かります。モンブランのマイスターシュテュック油性ボールペンなど、そっくりさんが販売されています。
手に取って、じっくりと眺めれば違いは分かるでしょう。例えばファーバーカステルやアウロラには紋様が刻まれています。しかしボールペンは文房具です。何かを書く必要があって手に取るのに、品評会のように検分することってあるのでしょうか?
普通の人が一発で分かるのは、クロスのクラシックセンチュリーのように独特の形状(鉛筆並みに細い軸)とか、モンブランのようなホワイトスター(白い星型のマーク)が付いていること程度です。
私は恥ずかしいのでホワイトスターを、黒いマニキュアで塗り潰しています。
こうなるともう、モンブランの第二の特徴である三重環などを知らない限り、誰もモンブランだと気付きません。
昨日も兄弟や親にボールペンを貸す機会がありましたが、モンブランだと気付く者は皆無でした。
ちなみに冒頭画像は、以下のような4種類のボールペンで構成されています。
- 景品で配られていた無料のボールペン(製造コストは100円以下)
- 数千円台のボールペン
- 1万円台の「そこそこ高級なボールペン」
- 数万円台のモンブランのマイスターシュテュックやアウロラのオプティマ
たしかに高級ボールペンの外観は、それなりの手間をかけて製造しているため、オシャレな外観をしているタイプが多いです。しかし安いからといって、決して侮ることは出来ません。
高級ボールペンは重い?
これも良くある誤解です。たしかに高級ボールペンには30gはおろか、40gを越えるボールペンも存在します。
しかし高級ボールペンの代表格と呼べるモンブランのマイスターシュテュックは、重量23gです。
樹脂製だから、そんなものです。太軸タイプのモンブランスターウォーカーでさえ重量28gです。
一方で “景品ボールペン” は、細いプラスチック軸の替え芯(リフィル)を利用しているタイプが多いです。だからプラスチックの中身に金属コイルを入れているようなボールペンだと、重量20g程度になります。
それに重過ぎると、長時間利用するような必要が生じた場合、手が疲れてしまいます。高級ボールペンの販売メーカーは、基本的に年配層を想定しています。
先のモンブランのマイスターシュテュックは一見ありふれたボールペンに過ぎませんが、長時間使用するようなことがあっても全く困りません。
重いボールペンは高級品が多いですが、高級ボールペンだから重いということは全くありません。
使い心地の違いなど存在しない
さて「見た目」や「手に取った重さ」で判断するのは難しいことは分かって頂けたでしょう。
それでは使い心地の差はあるでしょうか。結論を言ってしまうと、「無い」です。
しっかりとした造り?
数万円もするような高級なボールペンは、造りがしっかり… しているでしょうか?
これは普通は長年利用しても壊れないように、コストを惜しまずに耐久性を持たせるように製造されています。
クロスは永年保証で故障部品を無償交換すると謳っているので、事情は若干異なります。それでも基本的に100円ボールペンのように「プラスチック部分が摩耗したり破損して使用不可」といったことは生じないように製造されています。
ただし残念ながら、高級ボールペンだからといって「しっかりした造り」は保証されません。
さすがにドイツを代表するモンブランでお目にかかったことはありませんが、ボールペンの替え芯(リフィル)とボディ(本体軸)の先端部分に余裕が大き過ぎて、文字を書き込む時に「カタカタ」と音が立ってしまうことがあります。
日本品質に慣れていると分からないかもしれませんが、海外製品を使うと驚かされることが多いです。高級ボールペンといっても、そんなものです。
ちなみに私が知っている全ての高級ボールペンは、ボディ(本体軸)の先端は金属になっています。しかし替え芯(リフィル)の先端部分も金属であり、何十年も替え芯(リフィル)の出し入れを繰り返して、ひたすらメモを取り続けていると、この金属部分でさえ「摩耗」が生じます。
「カタカタ」が気になる利用者たちは慣れたもので、利用する替え芯(リフィル)のメーカーを変えたり、先端をセロテープでカバーしたり、透明マニキュアを塗ってカタカタが生じないようにします。
インクが違う?
高級ボールペンは良質のインクを利用しているので、書き心地が良いということはあるでしょうか?
残念ですが、そのようなことはありません。なぜなら安価なボールペンとして長年の実績/販売量を誇るBicが、売上本数にモノを言わせて、安くて良質な書き心地の替え芯(リフィル)を販売しているのです。
替え芯(リフィル)1本あたりの利益は小さいかもしれませんが、ともかく販売量が比較になりません。そのおかげでインクや先端部分を改良するためのの研究開発に投入できる費用は十分に確保できます。また製造工場の機械などに投入できる費用に関しても、同じことが言えます。
実際に使ってみると一発で分かりますが、Bicボールペンの書き心地は実にスムーズです。個人的にはモンブランのジャイアントリフィルやカランダッシュのゴリアット芯に相当すると評価しています。
低粘度インクを使いたい?
しばしば耳にするのが、「モンブランのマイスターシュテュックで三菱鉛筆のジェットストリームを使いたい」という要望です。
たしかに、それなりのニーズは存在するようです。三菱鉛筆でも、パーカー互換芯(G2芯)向けには三菱ジェットストリームの替え芯(リフィル)を販売しています。またモンブランで4c芯タイプのジェットストリームを利用可能にするアダプタも販売されています。
それではどうして筆記具メーカーが対応していないかというと、彼らは “ローラーボール” タイプ(キャップ式)のボールペンを販売しているのです。低粘度インクのボールペンを使いたいならば、そちらを購入すれば良いということです。
これ、個人的には大いに納得しています。なぜならツイスト/ノック式でペン先を出すようなボールペンだと、ペン先の収納を忘れてしまうことがあります。
その状態でYシャツの胸ポケットに収めてしまうと、インクが衣類に染み出すという悲劇が生じます。
そして胸ポケットに収納するような油性ボールペンを利用する時のシチュエーションは、実に様々です。だから気を付けるように心掛けてもダメなのです。(言い訳?)
昨日もペン先を収納し忘れて、そのまま胸ポケットに収納してしまった事態が生じていました。礼服用の白いYシャツだったので、何事も無かったと分かった時には、本当にホッとしました。
どうもペン先を収納し忘れる失態をする粗忽者(そこつもの)は、私だけではないようです。あと数か月で定年退職予定の元上司などは、消せるインクのボールペンを使用しています。
私のように2本目以降を筆箱に入れるタイプはともかく、初めて高級ボールペンを身に付けてみようと思う方は、ジェットストリームはオススメできません。
どうしても使いたいならば、先ほどのキャップ式(ローラーボール)のボールペンを選んだ方が良いでしょう。
それではどうして高級品を使うのか?
こうやって見ると、別に高級ボールペンを使うことに意味は無さそうに思えます。
実際、私は若い方にはクロスのアベンチュラといった類の入門用ボールペンをオススメしています。
https://www.note1005.com/?p=1324/
それでは私は、一体どうしてモンブランのマイスターシュテュックのような高級ボールペンを使い続けているのでしょうか?
もちろん油性ボールペンとしての使い心地が、わずかであっても百円ショップレベルとは異なるという理由も存在します。
しかし最大のポイントは、「長年利用してくたびれた見た目」です。
「ヒツジ執事」は、それなりの年齢です。
そういう者として自慢したいのは、「戦友として長年使っている筆記具を持っている」という点だったりします。
こういった「実績」は、自分がどういった者であるかを何気なく語ってくれます。
筆記具にも流行があるので、効率最重視で流行を追い求めるのも悪くないと思います。若い人が真新しい筆記具を使うのは、フレッシュな感じで良いでしょう。
ただ仮にも「執事」を名乗る者としては、「長年に渡る変遷を経て、それでも今でも実用性No.1と評価されているボールペンを使い続けている」という点にロマンを感じているのです。
もうこうなると、本当に自己満足の世界です。笑いたい人は遠慮なく笑って頂いて構いません。
「老兵は老兵なりに、己の矜持をもってして、黙々と戦友と共に使い続ける」という幻想です。
それから亡き父の手術に同意する署名も、このボールペンでした。過去に失くしたモンブランは、Mikanお嬢様がプレゼントしてくれたペン袋を使ったが故に消え去って行きました。
亡くなった義父の筆箱には、モンブランの万年筆やボールペンが山ほどありました。
現在のモンブランがどんな存在であるのかは、私の知ったことではないです。
私にとってもモンブランとは、家族との繋がりを象徴する筆記具とも言えます。だから私は、これからもYシャツの胸ポケットに常備する筆記具は、引き続きモンブランであり続けることでしょう。
それから私以外の方が高級ボールペンを使う意味としては、さらに「リスクの排除」があります。
私は貧乏サラリーマンですが、このような高級ボールペンを購入するということは、それなりに財政的余裕のある方が多いです。そういう人にとって大切なのは、「時間」です。
少しでもオトクになるように考えるのは誰でも同じですけど、「時は金なり」です。あれこれ安くて良いボールペンを追い求めるよりも、多少お金がかかっても、一発で使い物になるボールペンを手にするように心掛けるのはビジネス的に意味あることです。
宝くじは夢があって楽しいけれども、厳しい実社会を生き抜いていくには、無用なリスクは排除するのが望ましいです。
そういう意味で「とりあえず適当な高級ボールペンを買っておこう!」は、財政的に余裕のある人には意味のある行為となります。
そしてこのようなボールペンを使っているということは、財政的に余裕あるということをPRすることに繋がります。
まとめ(拘りを持つ意味)
さて以上の通りでして、「高級ボールペンと普通のボールペンの違い」なんて、別に基本的な耐久性以外は存在しないです。
あとは「お金があるから筆記具も適当なものを見繕っておけば心配ないだろう」だとか、「長年の思い出が詰まっている筆記具なので使おう」という程度でしょう。
ちなみに私の悪友の一人は、まったく拘りを持っていません。「すぐに失くしてしまうから」と、今も事務用ボールペンを使い続けています。(^_^;)
つまり「よそはよそ、うちはうち」ですね。私も無理して高級ボールペンに拘る必要は全くないと思っています。
それでは、また。