高級ボールペンなのにモンブランのスターウォーカーを2本も持っている理由

私は自宅で仕事をする時に、スターウォーカーを利用することが多いです。

先日は記事を書く時に2本並べていたら、子供から「どうしてお父さんは同じボールペンを2本も持っているの?」と質問されました。

我が子と同じように、不思議に思われる方も多いかと思います。そこでどうしてスターウォーカーを2本も持っているのか、説明させて頂くことにします。

主な理由は「修理部品の在庫が心配だから」という単純なことですけど、その意味を理解するにはモンブランの歴史から語ることになります。

少し長くなりますが、興味ある方は是非おつきあい下さい。

モンブランの歴史

一昔前までは、モンブランのボールペンというとマイスターシュテュックを連想する人が多かったです。モンブランの誇るトップブランド製品であり、デザインも昔から全く変わりません。

私は30年前に製造されたマイスターシュテュック(クリップにはW-Germanyの刻印!)も持っていますけど、現在のものと異なるのは内部の回転機構くらいです。上軸と下軸を新旧2本のマイスターシュテュックで交換しても、全く問題なく使えます。

さすがはモンブランを代表する筆記具です。モンブランもいろいろなボールペンを製造して来ましたが、主力製品であるマイスターシュテュックだけが20世紀半ばから現在まで製造され続けています。

[モンブラン公式サイト] モンブランの歴史

そんなモンブランですが、2000年に第2の筆記具コレクションであるボエムを発表しました。そして2003年にはスターウォーカーを発表しました。

これらはモンブランの筆記具であることを示すホワイトスターだけでなく、マイスターシュテュックのような三重リングの装飾が施されています。

ちなみに私が持っているのは、2003年に販売開始された直後のスターウォーカーです。最新のスターウォーカーとは三重リングの位置などが異なるデザインです。

修理部品の問題

私はITメーカーの技術者でもあるので、モンブランの悩みは痛いほど分かるつもりです。販売終了しても、故障品を修理するための部品を確保しておくことが必要なのです。

例えばクリップが曲がってしまった場合、修理には交換用のクリップ部品が必要です。もちろん分解や組み立て技術も継承することが必要になりますが、これは腕の良い職人がいれば何とかなることが多いです。

しかし部品だけは、どうしようもありません。そしてデザインが変わった場合には、そのデザイン用の修理部品を確保しておくことが必要です。

ちなみに初代スターウォーカーとして製造されたボールペンとして、メタルラバーラインがあります。

筆記具工房のブログ:ボールペン口金破損

上記の修理屋さんの説明によると、持ち主は修理パーツがないことを理由として、メーカー修理を断れられたとのことです。メーカーとしては無限に修理部品を確保することは出来ないので、予め必要量を見積もって在庫確保します。

ところが何かしら想定外の事態が生じたりして、修理部品の在庫が尽きてしまうことがあります。そうなるとメーカーとしては、後継製品を提供して対応せざるを得ません。

しかし上記の持ち主のように、愛着を持っている場合は「なんとか修理できないか」ということになります。メーカーは万一の場合の法務対応等まで完璧に準備する等もあって、「ごめんなさい」が多いです。

そこで上記Webのような修理屋さんの出番となります。運が良ければ、使える状態に修理(改造)して貰うことが出来ます。

なお同じメーカーという立場では無いですが、今回は修理パーツが尽きるのも分かるような気がします。一般的なスターウォーカーは28gですが、なんとメタルラバーラインは46gです。

つまりコンクリート路面などに落としてしまった場合、口金部分には大きな衝撃が伝わります。で、壊れるのは共通部品の口金ではなく、メタルラバーライン独自の本体軸部分です。

さてモンブランがどのように持ち主へ修理を断ったのかはともかく、特筆すべきは修理屋さんの腕前でしょう。脱帽です。

たしかに彼の説明通り、ペン先の口金部分を回しても外すことは出来ません。緑色のテープを滑り止めに付けて回してみたら、口金はひたすら回転するだけでした。

ところで肝心なのは、ここからです。私のスターウォーカーもメタルラバーラインと同じく、もはや販売終了してしまった初代モデルです。モンブランが無限に在庫を確保している訳ではありません。

心配になって数年前に渋谷の直営店に立ち寄って、質問してみたことがあります。その時は、明確な説明は頂けませんでした。

いちおう愛着はそれなりにあるし、モンブラン創立100周年記念のホワイトスター型ダイヤモンドを採用した特別仕様です。出来るだけ修理して欲しいところです。

それで、「修理パーツも兼ねて、追加で1本購入しておく」となった訳です。

それに仮に修理可能だったとしても、修理には日数を必要とします。さすがに高級ボールペンとはいえ、自動車のような代車制度はありません。

使い慣れた筆記具は、ハリーポッターに登場する “魔法の杖” のようなものです。もちろん代用することは可能ですけど、どうしても使い慣れた筆記具には及びません。

そういう意味でも、気に入った筆記具は2セット持っているのが望ましいです。ちなみに私の場合、マイスターシュテュックやクロスのクラシックセンチュリーも複数本を所有しています。

スターウォーカーの良いところ

実は私の場合、マイスターシュテュックよりもスターウォーカーの持ち主に遭遇することの方が多いです。鉛筆で鍛えられていない世代には、太軸の筆記具の方が扱いやすいというのが理由でしょうか。

私の場合は鉛筆のような太さの筆記具も大丈夫なのですが、時にはペンだこのような状態になることがあります。そういう時などにはスターウォーカーは変な持ち方にも対応可能なので嬉しいです。

また太軸で独特なデザインなので、手に持った時にボールペンに理想的な60-90度の角度に近くなります。(ボールが動きやすい角度となると、どうしても直角に近い角度になって来ます)

28gで太軸なので、大量にメモを取るには向いていません。しかし使い手のコンディションに関係ない使い心地を提供してくれる “高級ボールペン” であり、ちょっとした仕事程度ならば大変使い勝手が良いです。

まとめ

筆記具というのは、自分の手先の延長みたいな部分もあります。使い心地の良い道具は、仕事のアウトプットを豊かにしてくれます。

先のメタルラバーラインの持ち主だけでなく、スターウォーカーを気に入っている人は多いです。

別にスターウォーカーに限らず、日常的に使っている筆記具があれば、予備を持っておくことは有用なことだと言えます。

それに私だけかもしれませんけど、ときどきポケットに入れておいて行方不明になることもありますし。

それでは、今日はこの辺で。ではまた。

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記事作成:四葉静