[ネタバレ注意] ソードアート・オンライン第24巻ユナリンIIIの感想
喜ばしいことに、ソードアート・オンライン第24巻が発売されました。
我が家のお嬢さまは、朝飯もそっちのけで読んでいました。で、読み終わった後の感想は、次の通りでした。
[chat face=”Mikan.jpg” name=”Mikanお嬢様” align=”left” border=”red” bg=”none” style=”maru”]あー、面白かった! でも伏線引かれまくりで、訳分からなかった。[/chat]
「シノン様イチオシっ!」という彼女からすると、第24巻の混乱は当然かもしれません。何しろ現実世界、アンダーワールド、ユナイタルリング(ユナリン)が舞台となります。
それだけじゃありません。先の予告編で紹介したカムラ社が何かしたのか分かりませんけど、SAOの第75層ボスモンスターらしき存在まで登場します。
しかし私が期待したような茅場晶彦の登場はなく、お嬢さまからはバッサリと斬られるコメントもありました。
[chat face=”Mikan.jpg” name=”Mikanお嬢様” align=”left” border=”red” bg=”none” style=”maru”]お父さん、茅場晶彦は最後に登場する暗躍キャラだよ。私は最初から騎士団長(表紙に登場)が彼だとは思っていなかったわ[/chat]
なかなか厳しいコメントです。もはや企業の命運を左右する戦略構想家としては不合格と言われたようなものです。
そこで今回は大人しく、あらすじと感想を書き綴ることにします。(淡々と)
第24巻のあらすじ
さて事前予想では、表紙に登場する人物はヒースクリフこと茅場晶彦であると良いなあと期待しました。
https://www.note1005.com/?p=2317/
現在のアンダーワールドに登場する整合機士団長ですけれども、見事に外れました。お調子者で、お菓子が好きで、庶民的なお店に行くのも楽しむキャラです。
既存の登場人物だと、クローン・キリトです。最初に「僕」と言いますけど、ユージオが生き返ったという路線は無さそう… です。
昔からアンダーワールドにいた人物ですけど、クローン・キリトか茅場晶彦がオーシャンタートル施設で、何か時間操作をしたということでしょうか。もしクローン・キリトだと、そうでなければ説明がつきません。
でもそうなると、”先生” が誰なのか説明つかなくなってしまいます。まさかクローンのクローンということも無いでしょうし、茅場晶彦が親切丁寧な指導者になるとは想像できません。
つまり誰がどのように暗躍しているかが、全く分からない状況です。企業の命運を担う戦略構想家としては作者に兜を脱ぐしか無いです。そんな私を、お嬢さまは軽くスルーしています。
[chat face=”Mikan.jpg” name=”Mikanお嬢様” align=”left” border=”red” bg=”none” style=”maru”]お父さん、これじゃ誰も分からないと思うよー[/chat]
作者自身が登場人物たちに任せていると公言しており、登場人物を “意識あるNPC” のように尊重しています。たしかにこれでは、キリトのように全体感を持ちつつ、話の流れに任せて臨機応変に対応するのが良さそうです。
なんでもユナイタルリング(ユナリン)は、”過剰” によってゲーマーの “ゲーマー的常識を徴発” しているのだそうです。既存の枠に囚われている者から、どんどんと追い出され、常識を一歩踏み超えた発想をする者は生き残るという訳だそうです。
なんだか現在私たちの生きている実社会でも、完全に通用しそうな感じです。これだから小説家の直観には、頭が下がります。
そこで大人しく、まずは第24巻で何が起こったのかを、「メモの魔力」という分析技法を使って整理することにしましょう。
- 菊岡さん、アルゴと銀座でお茶会
- お茶会でオーグマーと開発元カムラ社が話題
- キリトとアスナはユナリンで頭痛や意識障害
- キリトはユナリンでAOL攻略組を観察
- 仮想研究会の極大魔法(呪法)に巻き込まれる
- 仮想研は、「やばやば魔女ムタシーナ」が統率
- アルゴとユナリンの設計思想を意見交換
- ボス部屋を発見
- キリトからアスナへ誕生日プレゼント
- ソードスキルを使えない少年フェルシィ
- 全ての神器は整合騎士団と共に封印
- アンダーワールドでの空間力の供給不足
- 整合機士団長の名前はエオライン・ハーレンツ
- 団長は跳ね鹿亭の蜂蜜パイ(焼きたて)好き
- 今回は試験ダイブで、偵察ダイブは次回
- エギルの奥さんは昆虫ゲーマー
- ザ・スカルリーパー(第75層ボス)と遭遇
キリト流に表現すると、「コレ、伏線どころじゃないでしょ。事件たちが待ち行列作って並んでいる!」と、いうところでしょうか。
作者のあとがきだと、整合機士団長、ムタシーナ、スカルリーパーが三大イベントだそうです。これだと話が収束するどころではなく、どんどんと大きくなって行きそうです。
とりあえずアンダーワールドは空間力不足だそうですけど、ここで自転車でも登場すれば一息つけるでしょうか。それよりもムタシーナが極大魔法を使える理由とか、なぜ第75層ボスが登場したのか気になります。
(空間力以外に、人工フラクトライト枯渇も気になりますけど。足りなくなったら無理やり再利用?)
なおクローン・キリトが団長だとすると、ユナリンの “先生” との繋がりが気になります。先生はキリトのことを良く知っているということは、逆にキリトが知る人物でもあるでしょう。
本当にユナリンは謎ばかりです。とりあえずアルゴさんのコメントが気になります。
「ひと言で言えば<<過剰>>だナ。過剰に広いワールドマップ、過剰に高精細なグラフィック、過剰なスキルとアビリティ…… つまりこのゲームは、オイラたちプレーヤーのゲーマー的常識を徴発しているんだヨ。できることに自分で枠を嵌めてる奴から死んで、常識を一歩踏み越えた発想をする奴は生き残るってワケだ」
私は漠然と格VRMMOサーバが連動していると思い込んでいましたけど、全く別なサーバに吸収されたと考えるのが良さそうです。そうすると、やはりカムラ社が運営している「赤字が確実な謎VRMMO」あたりに吸収されてしまったということでしょうか。
しかし茅場晶彦も恩師の教授も手を引いているハズですし、そのカムラ社が何を考えているのかが気になります。「実はアスナの父親」が指揮者だったとも思えませんし、キリトの父親は金融方面の仕事です。
再び米軍や米国政府が登場するとも思えませんし、新キャラの登場でしょうか。
という、次第で、第24巻は物語が大きく展開する巻でした。なんか第25巻も展開を続けそうな気もするし、そうなったら収拾をどうやって付けるつもりなのか気になるところです。
登場人物たちの動き
さて一方で、第24巻はキリトが悩まない巻でした。アルゴが感心していましたけど、大人になったということでしょうか。
キリト
もともとお茶目な性格でしたけど、それが表に出ているようです。悩みがふっきれたというところでしょうか。忙しくて大変そうですけど、公私共に充実した生活を送っています。
あと父親として言いたいのは、「よく英語を勉強していた」です。たとえ飛行機や海外旅行が無くなっても、ネットの世界では繋がっています。留学可能なレベルの英語、よくぞ身に付けました。
それにしてもソードアート・オンラインで英語のセリフが飛び交うとは、なかなか作者もやってくれます。これで我が家のお嬢様が英語を勉強する気になってくれると、本当に嬉しいです。
(えっ、私? もちろん……. )
アスナ
今回はぶっ飛んだところはありません。副団長も、随分と角が取れて丸くなったというところでしょうか。ひたすた尽くすタイプに徹して、キリトの留守を守ります。
小説だと目立たないので興味を引きませんけど、キリトは彼女のおかげで無茶ができる訳です。私やお嬢様が、奥様がいるから無茶できるようなものです。
[chat face=”Mikan.jpg” name=”Mikanお嬢様” align=”left” border=”red” bg=”none” style=”maru”]私は無茶してないっ![/chat]
まあ彼女のような存在は、何にも代えがたいです。あ、もちろん我が家の奥様も、何にも代えがたい存在です。
シノン
我が家のお嬢様イチオチのシノンです。今回は目立った活躍や冒険はしませんけど、キリトチームのNo.2として知恵袋になっています。剣士ばかりの中、一撃必殺のスナイパーというのはカッコ良いです。
今はヘカーテという超重量級ライフルが使えない状態ですが、その判断力や戦術眼はさすがです。アスナが副団長だとすると、シノンは遊撃隊です。
こういう人がいてくれると、組織は安定感が増します。GGOの仲間が登場しない点が、少し寂しいですね。
仮想研の魔女ムタシーナ
我が家のお嬢さまは「科捜研の女」というTV番組も好きですけど、この魔女ムタシーナは「悪女」の類です。
ここまであからさまに他人に悪意を持つことを喜ぶキャラって、ラフコフ以来でしょうか。そういえばSAOでシリカがピナを蘇らせるのを邪魔したお姉さんがいましたけど、何となくイメージが似ています。
(ただしムタシーナさんは度胸や頭の回転が段違いで、ラスボス級です。SAOの彼女は小物なので、別人ですね)
この人は純粋にゲームクリアを目指しているとは思えないですし、意味なくキリトチームを狙うとも思えません。これからどのように本編に関係してくるのかが、気になる存在です。
そういえば悪い魔法使いといえば、対をなすのは善良な魔法使いです。これはアスナかユイが魔法使いを目指し、呪いを代わりに受けるとかいった展開になるのでしょうか。
とりあえずこの件に関しては、キリトが考えるように放置するのが良さそうです。
整合騎士団長エオライン・ハーレンツ
ちょっといろいろなことをやらかしてくれそうですが、宜しくない目的を抱えていることは無いようです。
彼の正体や、何をするのかは楽しみに待つことにしたいです。
アルゴ
SAO時代には頼りになる情報屋さんでしたが、今のところは情報量が少ないせいか、もっぱら分析屋さんとして活躍しています。
アリスともうまく付き合えているようですし、さすがというところでしょうか。
ただし今は何かを抱えているようで、それが少し行動に影を落としています。少し気になるところです。
なお彼女のことだから、茅場晶彦(現時点は関係無さそう)とかクローン・キリトと交流があっても、全く驚きません。
気になるのはSAOサバイバーで執着している人物が存在することですね。今回はSAOまで関係し始めているので、彼女の探す人物のことも本編に絡んでくるかもしれません。
アリス
世界を背負って立つボトムアップ型人工知能ですが、自由気ままにしています。まあその方が、ストレス溜まらなくて良いでしょう。
ユイ
かわいいです。
我が家のお嬢さんは、こんな素直な幼少期はありませんでした。
まとめ
以上の通りです。本巻もそうだし、次巻以降の展開も全く読めない状況です。
ただしかなり説明が脱線しましたけれども、さすがは高い人気を誇るラノベです。私も作者と同年代ですけれども、今どきの若者たちの共感を大いに呼びそうな気がします。
作者自身が小説の世界に浸って書いているとのことですけど、なるほどだと感心させられます。作者の筆力と相まって、まるで若い頃に戻ったような気がします。
世の中は矛盾に満ち満ちていて、それでも給料を得るために働く必要があり、勉強してテストに合格する必要がある。その時に身に付けた数学や英語は、仕事をする上で役に立ってくれる… そんなの分かっているけど、もっと遊びたいよなあ、と。
たかが小説、されど小説。
世界を支えるヒーローたちも、ケーキや宿題に悩まされるのが現代というものでしょうか。
ともかく早くエクスカリバーやヘカーテを使えるようになって欲しいところです。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:四葉静