カラス・マンションとなる危機は完全に消滅 (湘南日記)
さて年末年始に悩まされていたカラスだけれども、ようやく「全てが終わった」と言えるようになった。
もはや当マンションの近辺をウロウロしようとするカラスは、一羽も存在しない。
若干の課題は残っているものの、それは「マンションに一人の変人が棲息している」という程度だ。
そもそも発端となった柿の木を植えていた一戸建ては、取り壊しが進んでいる。こういう状況だから、今年は柿の木やカラスを放置していたのかもしれない。
(老朽化したとはいえ、家が取り壊される様子は、なんとなく寂しい)
ちなみにマンションに棲息する変人だけれども、今日も仕事の合間に「階段上り下り」を実行している。
「今はどれだけカロリーを消費したの? なになに? まだ188キロカロリーか。がんばってねー」
と、冷やかしというか、声援を送ってくれる知り合いもいる。
「いや、まだ昼間だから、こんなものなんですよー」とは言わない。
誰も細かいことは気にしていない。えへへへへ、と笑顔を返すだけだ。人生、平穏が一番だ。
ともかく今回は、レーザーポインタ懐中電灯と、水鉄砲に感謝するばかりだ。
さてこれで当マンションの住人たちは、無事に日常へ復帰することが出来た。
しかし一度起こったことは「何も変わったことは無かった」という状況へ戻る訳ではない。具体的には、僕に新しい趣味が増えてしまったらしい。
吹き矢クラブに入会した親父を、どちらかという冷ややかな目で見ていた僕だけれども、どうやらサバゲー(サバイバルゲーム)にハマりつつあるらしい。階段の上り下りに加えて、シューティング練習という「日課」が増えてしまった。
そういえばエアコキこと「エアコッキング型ホイップガン」の中古品を格安で調達したけれども、なぜか「一0歳以上向け」が多い。これは実のところ、自宅内でゲームに没頭している子供を屋外フィールドへ連れ出そうという企みの一環だったりする。
もちろん今の僕には、サバゲーことサバイバルゲームに挑戦するだけの技術、経験、体力はない。普通は引退するくらいの年齢なのに、逆に今から新規参加しようというのも珍しい。
ただしこれ、悪いことばかりではない。
たとえば今日は関東地方にしては珍しく、小雪がチラついている。さすがにこういう時には、屋外に急に出るのは体に良くない。そりゃ箱根駅伝の選手みたいに若ければ構わないだろうけれども、こちらは徐々に高齢者に近づきつつある。
だから屋内で可能な運動があれば、それに越したことはない。
で、ピッタリなのが、この「エアコキ」なのである。
最近はガス式とか電動式が普及しているけれども、エアコキことエアコッキング式だって、なかなか捨てたもんじゃないのだ。他方式と比べると静音だし、軌道も安定している。だから50メートル先の目標を狙うことだって可能だったりする。
ただしこのエアコキ、使う場所と人を選ぶ。
(だからこそ面白いとも言える)
もちろん連射という面では、ガス式や電動式を凌駕することはない。ゲームでは後方支援とか想定外の方角から、「裏取り」する役割を担うことが多い。
それからエアコキというのは、人間の腕力で圧縮空気を作り出す方式のことだ。
興味深いことに、腕力自慢の者であれば、下手な電動式やガス式を上回る。なぜならば法律で弾のエネルギー量に上限が設定されており、腕力次第ではその上限近くまでエネルギーを貯め込むことが可能なのだ。
「おそるべきは人間かな」
と、いうところだろうか。
それにしても本当に人間というのは大したもので、このエアコッキング式でも「スポットバースト・ショット」を実現してしまう者まで存在しているし、毎秒二発を可能にする「コキ神」なる人物まで存在する。
ちなみにスポットバースト・ショットとは、同時に多数の弾を一点に当てる技だ。昔の西部劇でガンマンがやっている場面があったけれども、架空の夢話だと信じ込んでいた。
それで本当にYoutube動画を観た時には、人間の可能性に驚かされたものだ。だってエアコッキングというのは、これまで何度も説明しているように「腕力」で空気を圧縮する。なんで「発射」、「装填」、「圧縮」、「発射」を間髪おかずに実現できるのだろうか?
おまけに5mくらい先の空き缶を二つ同時に倒している。この光景に至っては、もはや神業としか思えない。
そんな訳で、エアコキという分野は、なかなか奥が深い世界らしい。それで今の僕は会議の合間や、保温ポットのお湯が沸くまでの間に、せっせとコッキングの練習をしている。
こういう時に在宅勤務というのは、嬉しいものだ。
- 家族がドライヤーなどで音を立てている時に練習可能
- 数分で腕がパンパンになる(かなりの運動量)
- 中古で調達した中の故障品を利用可能
- 僕の弱点である左腕強化に役立つ
- エアコキは他方式よりも静音
もちろん拙宅はルーフバルコニーである上に、大きな壁が存在する。だから先ほどの画像のように、実際に屋外で実戦練習しても良い。これは遠くにいるカラスたちに対して、ちょうど良い示威行動にもなる。
(カラスに自衛力があると思われるのは、カラス侵攻抑止に役立つらしい。ここら辺は国家と同じようなものかもしれない)
そんな訳で他の人々は元通りの生活に戻ったけれども、僕だけは今回の獲物を利用して、なにやら毎日せっせと運動不足を解消する日々を過ごしている。
もしかしたら、この歳にして本当に「サバゲー・デビュー」を果たしてしまうかもしれない。何しろ神奈川県には、いろいろと興味深いフィールドが運営されている。
そして子供を連れだすことが出来れば、現在の最大課題である「子供の運動不足」と「ゲーム没頭」を一気に解決することが出来る。
そういう訳で、僕がキッカケで街にも若干の平和が戻りつつある気もするが、当の事件を解決した本人は慢心することなく、いろいろと企んでいる訳である。
さて一年後の2024年になった時、僕は一体どこで何をしているだろうか。
子供の頃は自分が米国で年明けを祝うことがあるなど、まったく信じることができなった。自分が結婚するとも信じられなかった。
人生というのは、こういう想定外の事態があるから面白い。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:小野谷静