[3本目] クロス最高峰ボールペンのピアレスを購入してしまった件

 父ちゃんはフォースを使うことは出来ないけれども、誰もが見逃すことに気付けるという才能を持っている。生まれついての採用なので、自分でコントロールすることは出来ない。
 良い結果を生み出すこともあれば、良くない結果を生み出すこともある。

 さてクロスが最高峰だと太鼓判を推すピアレス125のダースベイダー卿モデルを二本も購入した後で、不思議な現象に気づいてしまった。

 なぜか売り切れにならないのだ。

 説明すると、最初の一本目はAmazonのブラックフライデーを利用して、Aショップから購入した。二本目は楽天のポイント5倍デーを利用して、Bショップから購入した。
 ところがふとしたことから気づいたけれども、Aショップの楽天支店やオークション出品に売り切れサインが表示されないのだ。
 気になって一週間後くらいに再チェックしてみたけれども、やっぱり売り切れ表示は出ていない。
 別件でAショップにお世話になったことがあるけれども、その時には他サイトの売り切れ表示は迅速対応だった。
 それを踏まえて考えると、実に不思議な現象だった。

 別に何かしなければいけないという義理は全くないけれども、ここは購入者としてAショップへ連絡を…
 いや、待てよ?

 AショップはAmazonでは、Amazon Prime適用対象となっていた。そしてAmazon倉庫に在庫があり、そこから僕のところへダースベイダーのピアレス125は翌日配送されて来た。
 一方で楽天の場合は、基本的にショップからの出荷となる。オークションサイトにしても同様だ。
「…….」

 ん?
 つまりAショップは、もしかするとダースベイダーのピアレス125の在庫が “二本” あったということではないか?

 そう考えると辻褄はあう。
 なんとなく自分の推測を、実際に注文して試してみたい気もする。

 --ちょっと待て!
 自分の脳内で陰々とした声が響き渡る。
 --なんだ、僕の良心よ。
 --二本もあれば十分ではないのか?
 至極もっともな指摘だ。
 --お前の給料は大してないだろう。
 うっ、自分で自分を傷づけるコメントである。しかし確かに、とても60,500円(税込み&2022年12月3日時点)のボールペンを三本も購入する余裕はない。
 しかし…
 --我が良心よ。生きるために必要不可欠な武器だ。これは危険を冒す価値はないと言うのか?
 --そもそも予算がないだろう。
 --銀行を解約し、さらに子供の学費向け口座から引き落とすことは可能だ。そしてバリバリ仕事をして、クレジットカードの支払い日までに三本目の代金を確保しておくのだ。
 --ばかな。アクシズの落下… いや、一本目の代金もすぐに支払日が来るのだぞ?
 --僕は貴様ほど結論を急ぎ過ぎていなければ、自分に絶望もししちゃいない。
 --貴様は家族に贖罪しなければならなくなるぞ!
 --ああ、そうさせて貰う!

「……」
 いや、どー考えても良心の方が正しい。無茶を通り越して、無謀だと言える。

 ただしダースベイダー卿のボールペンが限定1,977本であり、滅多に入手できないことは確かだ。そしてピアレス125の他モデルは、Crossロゴが目立ち過ぎるし、そもそも黒系統にカラーリングしたモデルが存在しない。
 冷静に考えれば最近の米国大統領と同じように、クロスのセンチュリー2を使うべきだろう。
 しかしこの使い心地は前代未聞…
 「助けて、チェンソーマン!」というところだろうか。

 しかし奇跡は起こらず、僕はダークサイドに完全に取り込まれていた。
 朝飯に食パンだけでなく、ジャムとネーブル(頂き物)も加えていたけれども、どうも脳に血液が回らなかったらしい。
 結局は楽天のポイント5倍デーが再び巡って来た日に、Aショップで購入ボタンを押していた。
 こういう時には「大人気につき再び1,977本を…」といったパターンがあるけれども、それはもう意識の中から消え去っていた。

 そして僕の推測は見事に当たっていた。
 半日ほど音沙汰なかったけれども、Aショップから発送手続きを開始するとのメール連絡がやって来た。それから一日経過した後で、発送連絡がやって来た。
 … 本当に二本の在庫があったのだ!

クロスのダースベイダーのボールペン

 そうして僕は、めでたくクロスのダースベイダー卿ピアレス125を、「ちょっと早めのクリスマスプレゼント」としてゲットしたのだった。
 もうこうなったらヤケクソである。
 あとは仕事して、仕事して、仕事をやりまくるしかない。
 チェンソーマンに喩えると、「ボールペンの悪魔」が誕生したというところだろうか。

 そして本記事を書く時にチェックして気づいたけれども、Aショップでは2本以上の在庫を所有しているらしい。2022年12月18日時点で、AmazonのAショップサイトから再び「残り一本」でダースベイダー卿のボールペンが販売されている。
 (この調子だと、ここで購入してとしても数日後に「残り一本」が表示されるような気もする。Aショップ、さすがだと言える)

 しかし今の僕に、これは別に構わないことだったりする。なぜならば実は四本目を…

 これはまた別な機会にお話しするのが良いだろう。筆記具におけるダークサイドとは、かくも恐ろしい世界なのだ。

(「万年筆の沼」も有名である)

 それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静