【ネタバレ注意】劇場版ソードアートオンライン・オーディナルスケール
ソードアート・オンラインといえばラノベの代表格といえる存在です。
私は立場的にユナという女の子のご尊父に近く、娘(SAOファン)をAIでも良いから蘇らせたいと思った父親の心情は… 分からないです。
ただし娘に好かれたくてナーヴギアを調達した父親の気持ちは良く分かります。
なにせ未成年の娘に代わって、最新24巻を注文したのは私です。
オーディナルスケールをレンタルし、娘と一緒に観ていたりします。
しかし親の苦労はどこ吹く風と、まったく感想を書いてくれません。
そこで今回は、娘に代わって感想を書き記してみたいと思います。
OSのあらすじ
ソードアート・オンラインのオーディナル・スケール(OS)は、小説としては販売されていません。映画オリジナルの内容です。
(とはいえ24巻でも「OS事件」として登場するので、知らないと少し困るかもしれません)
世界初のフルダイブ専用デバイス<<ナーヴギア>>開発から4年。フルダイブ機能を排除しAR機能を最大限に広げた次世代<<オーグマー>>が爆発的にヒットした。その人気を牽引したのは<<オーディナル・スケール>>という専用ARMMORPG。アスナたちもプレイするそのゲームに、キリトも参戦しようとするが……。
「フルダイブって何?」という方は、下記の紹介記事をご覧ください。映画のマトリックスのように、意識が完全に仮想空間へダイブします。ソードスキルといった現実離れした技は使えますけど、基本的に現実世界にいるのと同じような世界に存在することになります。
しかしOSに登場するのはナーヴギアでなくてオーグマーと呼ばれる機械です。ヘッドセットとかレシーバーのような形状で、見た目がオシャレです。
街中で装着しても目立たず、AR(拡張現実:Argumented Reality)機能を提供してくれます。これは映画ロボコップで視界に様々なデータが表示されるように、オーグマー装着者にも様々なデータが提供されます。
だからオーグマーを装着すると、トップダウン型AIの “ユイ” が目に映るようになるのです。逆にオーグマーから収集されたデータにより、”ユイ” にも装着が見たものが見えるという訳です。
そしてのAR機能を持つオーグマーを活用したゲームが、VR向けのソードアート・オンライン(SAO)でなくて、AR向けのオーディナル・スケール(OS)という訳です。
話が進むにつれて明らかになって行きますが、このオーグマーやオーディナル・スケールを開発したのは茅場晶彦の恩師です。SAOで亡くなった娘をAIでも構わないから蘇らせようとして、茅場晶彦の遺産を使って開発しました。
そのためにSAOで登場したボス・モンスターたちが登場します。これによってSAO生存者たちからユナ(娘)に関するデータを収取しようと考えた訳です。
そしてこの計画を実行するために、彼女の友人だったエイジ(SAOでの名前はノーチラス)と手を組みます。彼は元KOB(血盟騎士団)のメンバーでしたが、マトリックスのようなVRは苦手でした。
なんでARなのかが今一つ分かりませんでしたけど、これが理由の一つのようです。もちろんARは視覚補助といった機能があるので、一般人にとってもスマホのように便利なデバイスです。これも大きなAR採用理由の一つです。
さてそうやってSAO生存者からデータを集めるだけでも困りものなのに、データを収集された者は記憶を失ってしまうのだそうです。その企てにヒロイン・アスナが巻き込まれてしまいます。
それで我らがキリトが再び剣を取り、ボス・モンスターやエイジ(ノーチラス)に立ち向かって行くという訳です。
OSで魅力的なところ
OSの魅力的なところは、何といっても「キリトが剣を取ること」です。特に彼はモンスターやラフコフは例外として、人間やNPCとの戦いを好みません。
しかしアスナのために、仕方なく剣を取ります。そして剣を振るうからには、必死になって鍛え、傷つき、強くなって行きます。
オジサン世代からすると、”水戸黄門” と呼べるかもしれません。典型的な「弱気を助け、悪をくじく」というパターンです。
しかし… それが良いのです。やっぱりいつの時代でも、正義の味方は良いです。スーパーマンみたいに欠点のない圧倒的存在は親しみが持ちにくいですけれども、彼は普通の高校生です。
ヒロインのために自らの全て投げ打って、危険な戦いに身を投じていく。この王道的なストーリー展開は、我が家のお嬢さまにも安心して見せることが出来ます。
もちろん女性としてはヒロインを始めとする登場人物たちがキチンと描かれており、お嬢さまイチオシのシノンさんも活躍してくれます。丁寧に作られた良策です。
若者がカップルで見に行っても良いでしょう。ただし我が家の奥様は、声優さんたちのセリフに反応して笑い転げて、お嬢さまから注意指導を受けました。あくまで「若者のカップル」に留めておくのが良さそうです。
それにしてもキリトとエイジの戦いは良かったですね。ビジュアルで楽しめるだけでなく、お互いの大切なもののために必死に戦うだから、迫力があります。そういう点がキチンと描かれており、家庭で見れる良作です。
OSで残念なところ
そうはいっても、SAOファンからすると残念なところが無い訳ではありません。
さすがにこれだけの充実した話を、劇場版の数時間に詰め込むのは無理があります。ストーリー全体が分かりやすく纏められていますけど、逆にこれが「物語の深堀り」を妨げています。
「アチラを立てればコチラが立たず」です。映画のマトリックスにしても三部作になりました。オーディナル・すけーるにしても、そのくらいの密度がある訳です。
だからキリトがあと少しでHPゼロになりかかる場面が良かったですけれども、もう少し追い詰められる場面があって欲しかったりします。数々の苦難を乗り越えて強さを身に付けていくところに、キリトのキリトらしさがあります。
また彼が背負っているものの描写も、もっと欲しかったところです。父親やエイジの思いは分かりましたけど、それに負けないものをキリトはSAOの世界で背負いました。
だから彼は「キリト」であり、圧倒的な強さを誇る剣士なのです。もしTV化されていたら、もっと人気が出ていたかもしれません。
そうそう、そういえば今回の彼は片手剣使いでした。やっぱり “お約束” として二刀流をやって欲しかったのは、私だけではないでしょう。
まとめ
以上が劇場版ソードアートオンライン・オーディナルスケールの概要と感想です。
さすがは興行成績25億円を叩き出しただけのことはあります。お嬢さまも大満足でした。
ただし… やっぱりTV化もして欲しいと言うのが、ファンの偽らざる心情でしょうか。キリトの新しい出で立ちも似合っていたし、もうちょっと見続けていたかった気がします。
うーん、こうやって考えると、私も何かあったら娘をAIを蘇らせたいと思うかもしれません。命懸けだからこそ、得難いものも生まれて来る訳です。
良くも悪くも、改めてSAOはSAOなのだなと思い知らされる話でした。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:四葉静