ファーバーカステルパーフェクトペンシルの入門

ファーバーカステルのパーフェクトペンシルは、幾つかのシリーズに分かれている。そのシリーズの中で、さらにモデルが分かれているケースも存在する。

まず手始めとして本記事では、どのようなシリーズとモデルが存在しているかを紹介させて頂くことにする。

(こうやって見ると大分類はあっさりしているけれども、その先が細かく分かれていることが分かってくる)

伯爵コレクション

まずパーフェクトペンシルの頂点に君臨するのが、伯爵コレクションと呼ばれるシリーズだ。最初に製品化された時は鉛筆削り器を内蔵していなかったけれども、現在では鉛筆削り器も内蔵した製品として仕様変更されている。

そしてこの仕様変更によって、鉛筆キャップ、消しゴム、鉛筆削り器、鉛筆補助具(長さが短くなった時の補助具)という鉛筆ユーザの鉛筆ニーズに “まさにパーフェクトに対応できるようになった” と宣伝している。それゆえのパーフェクトペンシルである。

本記事の冒頭画像の一番上側に写っているのが、伯爵コレクションのプラチナコーディングと呼ばれるタイプだ。その他に黒塗装のブラックタイプや金メッキのゴールドコーティングなど、コーディングの種類は何タイプも存在している。

そしてコーティングタイプのワンランク上に位置されているのが、スターリングシルバーというタイプだ。スターリングシルバー、つまり銀純度92.5%のモデルである。銀食器と同じ塩梅で、ちょっとでも手入れを怠っていると、すぐに黒ずんでしまう。ただしちゃんと磨いていれば、衆目の前でピカピカと美しく輝くパーフェクトペンシルを披露できる。いかにも文房具マニアが喜びそうな代物だ。

ちなみに “伯爵コレクション” と呼ばれているのは、ファーバーカステル社のオーナーが伯爵だからである。そのせいなのか、それこそ実用性までパーフェクトに放り投げ、デザイン重視の製品を投入する大胆さがある。この伯爵コレクションが格好の例と言える。

コーティングタイプだろうがスターリングシルバーだろうが、重さ30gを切ることは無い。こんなものを鉛筆の補助具にしたら、使用する者は大変だ。
(そういえば伯爵ご自身のパーフェクトペンシルもスターリングシルバーで、せっせと執事や使用人が磨いているのだろうか?)

しかしこの文房具に取って致命的に重要な実用性を捨ててしまうような潔さが、逆に人気となっている。世の中とは本当に不思議なものだ。

ちなみに伯爵コレクションには、さらに芯と本体軸の太さを増量した “マグナム” と呼ばれるモデルがある。ただでさえ普通の鉛筆よりも太軸な鉛筆(リフィル)を使用している伯爵コレクションだけれども、これがさらに一回りほど太くなるのだ。たしかに威力はある。

鉛筆の芯部分は上の画像でお分かりのように、日本の標準的鉛筆2mm –> マグナム5mmとなっている。まさか僕も、ここまで突き抜けた製品が登場するとは予想していなかった。僕は基本的に子供が小学校時代に使い残した鉛筆を使うことが目的の小心者だ。おそらくマグナムを手に入れても、全く使いこなすことが出来ないだろう。

(しかし芯が2mm→5mmで実用性に何の変化が… いかん、いかん。これはそういった常識的な文房具じゃないんだ)

そういえばファーバーカステルは黒執事という某マンガのように、数年前に第9代の新伯爵へ代替わりした。その際に彼は日本にも来日したけれども、特別仕様の鉛筆を9本ほど持参なさったそうだ。

伯爵コレクション向けの専用鉛筆は、一本で1,000円は下らない代物だ。なかなか大層な文房具である。しかし長期的視点でみれば、僕のように子供が使い残した鉛筆を装着して使う者には、それなりにお得感はある….. かもしれない。

パーフェクトペンシルUFO

コチラは数年前に廃盤が噂されたモデルだ。冒頭画像で見ると、上から2本目と3本目がパーフェクトペンシルUFOだ。鉛筆(リフィル)は日本製の丸鉛筆と区別できない太さで、芯にはファーバーカステル伝統の9000番に近いものが採用されている。

(同じ芯でもボールペン液と同じく、リフィルによって使い心地も変わって来る。だからUFO向け鉛筆の芯が本当に9000番そのものであるかどうかは、ファーバーカステル社の関係者しか断言できない)

ともかく本日2021年10月24日時点の日本ファーバーカステル公式Webでも、UFOは紹介されている。つまり今でも販売継続されている… と解釈して良いだろう。そして9000番であるかどうかはさておき、ともかく書き心地が素晴らしい。特に僕のようにビジネスマンがメモ取りに使うことに向いている。

製品レビューで「余物を以て代えがたき相棒なり」と表現し、13年以上も使い続けている人もいる。

僕も全く同感で、カリカリと引っ掛かるような書き心地が楽しい。Bなのに三菱ハイユニと比較するとHBよりも少しだけ硬く、Hとの中間にあるF相当だろうか。僕が子供から譲られたマドレーヌちゃん鉛筆や三菱ハイユニに代表される日本製鉛筆には存在しない書き心地だ。

ちなみに鉛筆本体はご覧の通りで、ブラウンとブラックの二色が提供されている。僕はブラウンが好きなので、実は一生困らないだろうというほどの鉛筆軸を買い込んでいる。

それいあら僕の場合は、会議中に削り足している余裕はない。だから冒頭画像のように二本ほど常時スタンバイしている。

UFOは伯爵コレクションのように凶悪でないので、無用な重さはない。二本でも三本でもワイシャツの胸ポケットに常備しておける。流線形のデザインのおかげで持ちやすいし、僕はパーフェクトペンシルの中では最も実用的だと思っている。

ちなみに伯爵コレクションはワイシャツの胸ポケットというよりも、スーツの胸ポケットに向いている。クリップが可動式なので、スーツを痛めるようなことも、クリップが変形してしまうこともない。

ここら辺がファーバーカステルの上手なところで、こうやって万年筆ユーザがインク沼にハマったり本体軸を買い漁る道を辿るように、伯爵コレクションを購入する道に踏み込んでしまった者も少なくない。(僕も… )

まあ自動車の購入に比べたらば、大した金額ではない。興味があったら、あなたも一本試してみては如何だろうか。

(そうやって文房具ユーザは、徐々に闇落ちしていく….. )

9000番

こちらは世間的には高額だと言われるけれども、ファーバーカステルとしては良心的な価格の存在だ。冒頭画像だと一番下に写っており、見た目通りに緑色のプラスチック製である。三菱ハイユニを装着しているけれども、本来は緑色が鮮やかな9000番ペンシルが装着されている。

そもそもパーフェクトペンシルUFOも箱に収納されているけれども、この “ファーバーカステル カステル9000番鉛筆 パーフェクトペンシル” というシリーズは、上の画像のように一般文房具と同じパッケージングをされている。

おそらく鉛筆に少しでも興味を持ったものであれば、ファーバーカステル9000番の存在を知らない者はいないだろう。世界で初めて考案された六角形鉛筆で、百年以上も続く伝統品だ。1905年にアレクサンダー・ファーバーカステル伯爵が発表した。

ちなみに装着されているのはBだけれども、やっぱり日本だとF相当だろうか。ただしパーフェクトペンシルUFOのようなカリカリ感は少ないように感じられる。そういうこともあり、僕はパーフェクトペンシルUFO鉛筆を買い漁った。

たかが鉛筆、されど鉛筆というところだろうか。

まとめ

以上がファーバーカステルが販売しているパーフェクトペンシルのラインナップだ。もちろんファーバーカステルとしては販売促進のためにモデルチェンジを実施したりするし、微妙に製品仕様は変化し続けている。

時代に応じて… と言いたいけれども、ここら辺は良く分からない。特に伯爵コレクションの動向は、予測するのがムズカシイ。ある日突然、新製品が登場したりする。

鉛筆と同じように、思い通りにならないところが、ファーバーカステル最大の魅力だといったところだろうか。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静