「大人の鉛筆」はプレゼントに向いているか
「そもそも大人の鉛筆って何?」から始まるけれども、ともかく結論は「あまりおすすめではない」となる。それよりもプレゼントするならば高級ボールペンにして、それを「大人の鉛筆」化しておいた方が喜ばれるかもしれない。
大人の鉛筆… 鉛筆ホルダーというのは、実は大して便利ではない。そうするくらいならば高級ボールペンが無難だし、高級鉛筆が良いならばファーバーカステル伯爵コレクションがおすすめとなるだろう。
大人の鉛筆とは
「大人の鉛筆」とは北星鉛筆さんの商品である。鉛筆芯相当の2mm芯を採用した鉛筆ホルダーとも言える。
よく似た商品としては、三菱鉛筆の鉛筆ホルダーが存在する。こちらも2mm芯を採用し、シャープペンシルというよりも鉛筆に近い。まさに「鉛筆ホルダー」の名前通りの存在であると言えそうだ。
しかしこのような文房具は、ご存じのない方が多いだろう。文房具屋巡りが趣味だった僕にしても、存在を知ったのは数か月前の話だ。
つまりそれだけ、欲しがる人の少ないアイテムだと言える。実際に使ってみると分かるけれども、芯を削るのが相当めんどくさい。これならば鉛筆の方が便利で使いやすく、鉛筆ホルダーが欲しくなるのは「残りわずか」な長さになった時くらいだ。
しかしこれも昔から補助軸なるアイテムが存在するし、最近はステッドラーからオシャレな補助具も販売されている。だから大半の人は、「大人の鉛筆」は必要としない。普通の鉛筆で、十分に満足できてしまう。
一方で鉛筆の芯だけを使うという発想は興味深い。たしかに鉛筆は木軸があるから成立する筆記具だけれども、現在ではシャープペンシルというものが存在する。しかし欧米ではメカニカルペンシルと呼ばれるシャープペンシルだけれども、故障することが多い。
この呼称は可動部分が多いことに由来するので、内部構造がシンプルになれば故障しにくくなる。そこで芯を2mmといった鉛筆芯としてしまい、固定する機能だけ提供した鉛筆ホルダーは故障が少ない。それに0.5mm芯を固定するのは面倒だけれども、2mm芯は大して面倒ではない。
問題は芯の出し入れが出来ないことである。… と、ここまで考えると、既存のボールペン替え芯に鉛筆芯を使ってみたいというアイディアが浮かんで来る。
例えばクロスの場合は、冒頭画像のようにクロス替え芯を見ていると、そのまま鉛筆芯を使えそうな気がしてくる。おまけにクロスは大半のボールペン替え芯がサイズ的に大き過ぎて使えないけれども、鉛筆芯は丁度良い直径となる。
(ボールペン本体軸の先端部分を加工するといった小細工をせずに利用できる)
ある意味ではボールペン軸に鉛筆芯を装着するのも、「大人の鉛筆」の一形態であるというか、そちらの方が使い心地が良い。芯の長さ調整は面倒だけれども、ボールペン軸のツイスト機能によって「芯の出し入れ」も可能だ。
個人的には、これはこれで興味深い分野であるような気がする。
プレゼントの極意
さて今度はプレゼントの方面から見てみよう。
そもそもプレゼントというのは、受け取った者が喜んでくれることが前提条件だろう。その点で、果たして「大人の鉛筆」を期待する者がどれだけ存在するのだろうか?
もちろん赤鉛筆で採点している先生は存在するだろう。そういう道の方々は、鉛筆芯に興味を持つかもしれない。しかし同じことは、補助軸で可能だ。違いは補助軸の無味乾燥なデザインのみとなる。
それだったら、短くなった赤鉛筆をファーバーカステルのパーフェクトペンシルUFOあたりに装着するのが良さそうだ。値段も数千円と手頃だ。
もちろん数万円のプレゼントをしたいというのであれば、ファーバーカステル伯爵コレクションのパーフェクトペンシルという選択肢もある。しかし30gを超える補助軸を、赤鉛筆による採点に使うのは辛そうだ。
それだったらば、クロスやモンブランなどのボールペンをプレゼントする方が喜ばれそうだ。特にクロスは冒頭画像のように、鉛筆芯を装着すれば、「一時的な鉛筆ホルダー」だ。ちょっとしたサプライズになる。
おまけにこの「一時的な鉛筆ホルダー」は、自分で鉛筆芯(鉛筆を割っても良い)を調達し、クロスのボールペンにフィットするように調整する必要がある。だから「君のためにちょっと頑張ってみた」という努力をPRすることが出来る。
さらにプレゼントの受け取り者が興味を持ったら、一体何をどうやったのかを説明することが出来る。これだったら、僕のような寡黙な者だって説明という行為を通じて会話ができる。もしかしたら口下手な者には、うってつけかもしれない。
さて実際に「一時的な鉛筆ホルダー化」をやるかどうかはともかくとして、これがプレゼントの極意である。つまり相手のために手間暇を惜しまず頑張ったところを、さりげなく見せるのだ。
別に相手に取り入るとかまで考えずとも、人間は相手に気を配って貰えると嬉しい。ちょっとした一手間で会話が弾むならば、それに越したことはないだろう。
ポイントは相手に喜んで貰えるものを提供することだ。何も高額になれば良いという訳じゃない。
当たり前だけれども、これがプレゼントの極意というものかと思う。
まとめ
以上の通りで、「大人の鉛筆」をプレゼントとするのは感心しない。これは「大人の鉛筆」が大したものでないとか、プレゼントとするには安価過ぎるといった話ではない。
「大人の鉛筆」というのは、それだけで完結している完成だ。だから「ちょっとしたサプライズ」に欠けるのだ。(せいぜい箱詰めにして、メッセージを同封するくらいだろうか)
そんな訳で「サプライズ」を求めるならば、定番のボールペンが良いかもしれないと思う次第だ。数万円は行き過ぎというのであれば、ガッキーがTVドラマで利用したアウロラ社イプシロン(ノック式ボールペン)などもある。
いやいや、別に高級筆記具でなくても構わない。イベントでゲットした景品ボールペンであっても、鉛筆芯を入れれば十分に受けるかと思う。つまり相手のことを考えた上での、「ちょっとしたサプライズ」の提供だ。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:小野谷静