世界で最も安価なクロスのポーラス互換芯
クロスのポーラス芯というのは、Porous (多孔質の、コンクリートの)といった意味を持つ。実際のところはサインペンのフェルトに近く、クロス自身もFelt-tipという名称を付けて販売している。
これ、使い慣れると大変に書きやすい。おまけに文字が太いので、付箋紙へメモ書きするのに適している。トランプ元大統領が愛用していたのも納得できる。
しかしクロスなどの高級筆記具メーカーは、替芯も ”良いお値段” だ。
トランプ元大統領やバイデン大統領の使うクロスのセンチュリー2というボールペン軸よりも、一か月間の替芯代の方が高くなりかねない。
先の画像はTVドラマに登場するCIA分析官だけれども、僕も同じようなやり方で分析作業を実施している。
そこで今回はクロスには恨まれてしまうかもしれないけれども、せっかくのクリスマスイブだし、世界で最も安価なポーラス互換芯の入手方法を紹介させて頂くことにしたい。
最も安価な理由
さて最も安価だという理由は、会社員であるならば「金額的にはゼロ円で済む」というのが根拠だ。手間もそんなにかからない。
「ん、手間?」
ここで勘の良い方であれば、おおよそのアプローチが分かって頂けただけろうか。
金額的にゼロ円で済ませるためには、すでに会社に存在する備品やCross製品以外は利用することになる。
つまり… 使い終わってインクの出なくなったポーラス芯を再利用するのだ。
厳密にいうと互換芯ではなくて、純正芯ということになるかもしれない。
サインペンを分解した経験のある方ならばお分かりだろうが、サインペンの中身は液体ではない。インクを浸した脱脂綿のようなものが、ビニル袋のような筒状の物体に収納されている。それに爪楊枝みたいなフェルト芯が突き刺さり、ペン先へインクを流し込む原理になっている。
ただしクロスが他メーカーと異なっていて興味深いのは、このフェルト芯が替芯(リフィル)と一体成型されていることである。
だから新しく購入したクロス純正芯のペン先が調子良くなくても、ペン先だけ交換することはできない。
しかし逆にみるとフェルト芯は固定されているので、タンク内のインクを収納した棒みたいのがインク切れとなったら、職場のサインペンのインク満タン棒と交換してやれば良い。
インク交換による互換芯化
僕の職場には工具備品が確保されている。
今回はプライヤーとニッパを使って使用済みクロス純正ポーラス芯のプラスチック部分をアレコレと工夫していたら、あっさりとプラスチック部分を引き抜けてしまった。
あとは職場のインク満タンの棒みたいのと中身を入れ替えて、使用済み棒と同じ長さになるように、旧棒の一部を削って挿入した。
そして再びプラスチックで蓋をしたら、作業完了である。
ちなみに今回は今回は特別に「乾燥に強いインクのゼブラ社フィラーレWSM芯」を使ってみたけれども、三日経過した現在も絶好調だ。
「父ちゃん、あいかわらずセコいなー」と子供に呆れられてしまったけれども、この節約したお金がディズニーランドへの遠征費に貢献するのだ。
たしかに水性インクの愛称を考えると新品クロス純正芯を使いたいけれども、「みんな貧乏が悪いのよー」である。
なにしろ現在は世界的に中字(M)のクロスポーラス芯は品不足状態になっている。2022年12月24日時点では諭吉さんに二枚以上… それで納期は数日かかる。
僕の場合は日数をあきらめて、米国Amazonへ注文をした。
それでも一本あたりのお値段は… いざという時のために予備が欲しくなったとはいえ、なかなか大変なご時世なのだ。
ちなみに細字(F)であれば、国内でも容易に調達できる。評判も良い。
ナガサワ文具センターさんが、細字(F)に関してはレビューを実施している。
なお今回のような無茶ができるのは、全てクロスのおかげである。
一回の使用でペン先がダメにならないように、高品質な素材を採用している。だからインクを補充してやれば、何度も純正芯を再利用できるという訳だ。
(それに一年間キャップをしなくても乾燥しないというゼブラの特殊インクは本当に頼もしい)
まとめ
以上の通りで、会社の職場備品を活用することにより、「世界で最も安価なクロスのポーラス互換芯」を実現することが出来た。別に僕でなくても、誰でも「世界で最も安価なクロスのポーラス互換芯」は実現できるだろう。
つまりこの方法のメリットの一つは、「誰でも短時間で気軽に作成できる」という点にある。それから二つ目として、「指先が汚れない」という点にある。
フィラーレのペン先を利用しようとすると、引き抜いたりセロテープを巻くといった加工作業が必要になる。これは手袋をして作業すれば良いのだろうが、どうしてもその場合には作業精度が落ちるし、作業時間も必要になってしまう。
そう考えるとあらかじめクロスのポーラス替え芯をストックしておけば、いざという時には困らないという塩梅だ。
もちろん理想はクロスが豊富に在庫を用意して、日本のAmazonなどでも手頃な価格で入手できるようになることだ。
CIA分析官みたいなことをやる前に、まず筆記具からアレコレ悩む必要があるというのは、少しばかり本末転倒な気がしないでもない。
文房具の趣味人としては楽しいけれども。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:小野谷静